ネトウヨの新呼称、ネット右派
Japan In-depth / 2019年12月11日 19時0分
さてこの「ネトウヨ」と侮蔑的に片づけられがちだったインターネット上の保守派、右派に新しい光を当てた本が最近、出た。成蹊大学の伊藤昌亮教授(メディア論)による「ネット右派の歴史社会学」(青弓社)である。
▲画像 「ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代」伊藤 昌亮(著) 出典: 青弓社
私はこの書の紹介を10月7日の読売新聞朝刊の文化面の記事で読んだ。
記事自体が「ネット右派の成立と興隆」という見出しだった。ネット右派とは、ネトウヨとはまったく異なる客観性を感じさせる言葉を大きく掲げる見出しだった。
この記事による同書の内容紹介-には以下のような趣旨があった。
「ネット右派は『ネトウヨ』などと揶揄され、愚劣で知性がないと切り捨てられることが多かった。だが伊藤氏は、先鋭的なネット右派の裾野には若い世代も含めた穏健な右派層が分厚く存在していると見る。その影響力を考えれば、受け入れることはせずとも、理解しようとする姿勢も重要だと考える」
「90年代に市民主義が盛り上がりを見せ、リベラル派の言説という権威が社会を暗黙に支配している状況への反発が『反リベラル市民』のアジェンダを生み出したと見る。ネット右派は冷戦終結後の社会環境が醸成したものだと説く」
「(本書は)ネット右派の言説とはリベラル民主主義に反発し、吉本隆明の言う『先端的な言語』の対極にある『土俗的な言語』を手繰り寄せながら、民衆のエートスをくみ上げようとしてきた様々な議論や談論の総体だったのだと説く。ネット右派が保守的だから権威主義的との見方はあたらず、むしろ反権威主義を自任している、という」
伊藤教授は要するにネット右派はリベラル派からは侮蔑されたが、それなりに理由や根拠のある思考の表現役たちだと、いうのである。「ネトウヨ」というヘイトスピーチで片づけられるべき存在ではない論証だといえよう。
トップ写真:反中国デモ(2010年) 出典: Photo by Abasaa
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