諸国が跋扈するバルカン半島
Japan In-depth / 2019年12月17日 18時0分
19日にイランの大統領が訪日する。あまり大きな成果を期待すれば失望するだろうが、イランを巡って何か物事を動かす(またはそのふりをする)こと自体に意味があるとすれば、それなりに大変意味のある会談になるだろう。ここでイランが大きな譲歩をすることはないが、彼らにもホストに恥をかかせない知恵ぐらいはあるからだ。
〇 アジア
トルコの有名サッカー選手がウイグル問題で中国をツイッター批判し、中国で大炎上したそうだ。だが、ウイグルに関する各種報道を読めば、イスラム教徒があのような反応を示すのは当然だ。「中国人民の感情を傷つけた」からサッカー試合を放送中止にするより、もっとムスリムの心に響く反論をした方がずっと生産的だと思うのだが。
北朝鮮がまた「新たな実験」を行った。金正恩はもう腹を決めたのだろう。楽観主義者たちが最低限の期待を抱き続ける中、この一年半余り筆者は我慢してきたが、結局北朝鮮はICBMの開発と核弾頭小型化を一貫して継続してきたということだ。来年以降生まれる北東アジアでの新たな戦略環境に日本は対応できるのだろうか。
〇 欧州・ロシア
先週のイギリス総選挙では予想以上にジョンソン首相が大勝した。確かに、ジョンソン氏の方がメイ前首相より、大衆迎合というか、大衆扇動が得意なんだなと痛感する。これで英国のEU離脱は決定的になった。心のどこかに、最後は英国民も離脱を撤回するのではないかと淡い期待もあったが、その可能性もなくなったということだ。
それにしても、労働党は惨憺たるもの。ジョンソン首相は、コービン党首のお蔭で勝てたとも言えるだろう。労働党がもう少し中道でまともであったら、結果は随分違っていたかもしれない。この点は、もしかしたら、今の日本にもある程度言えることかも・・・。やはり国の正しい選択には健全な野党を持つことが死活的に重要なのだろう。
▲写真 ジョンソン首相 出典:flickr photo by LeStudio 1.com - 2019
〇 中東
イラク、イランに次いでレバノンがまた混乱している。ベイルートでは先週末2日間反政府デモが再燃し、デモ隊と警察が衝突した。10月末には大規模デモの末にハリーリ首相が辞任に追い込まれたが、おっとどっこい、そのハリーリが首相に返り咲くという話が出ているらしい。一体レバノン人は何を考えているのか?
AFPによれば、10月デモのスローガンは「無能で腐敗にまみれた政治体制の全面的な見直し」だったそうだが、もし本当にハリーリ以外に首相候補がいないなら、レバノンという国はとてつもなく深い腐敗と縁故主義の闇から出られない、自己統治能力の欠如した国と国民ということだ。実は似たような国はバルカンにもあるが・・・。
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