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私のパフォーマンス理論 vol.41 -勝利条件と戦略-

Japan In-depth / 2019年12月20日 7時0分

勝利条件→世界の頂点に立つ


目標→複雑性が高く参加者が少ない400Hで勝つ


戦略→世界一のハードル技術とレースマネジメントを手に入れる。具体的には400mと400Hの差異の最小化。


戦術→3台目までのスピードと200-300mでのスピード低下が重要と判断しそこのトレーニングに特化。海外経験が不足していたので海外でのレースを増やす。


当時は意識していなかったがこれが随分私の競技人生の選択を楽にしてくれたと思う。その後は全ての選択をそれは世界の頂点に近づけるのかという一点で評価をすれば良くなったからだ。ヨーロッパに挑戦するのも、プロになるのも世界に近づけるのかという点だけで判断すれば良く、うまく行ったかどうかも世界に近づけたかどうかだけで判断すればよかった。ご承知の通り、このブログの一連のパフォーマンス理論は世界の頂点に近づくことが勝利条件として設定されている。だから、楽しくやりたい人や、国内で戦いたい人、勝利以上の何かを重視したい人は、合わないアドバイスも多いと思う。目標も、戦略も、戦術も全ては勝利条件によって規定されるからだ。


勝利条件から落としていく考え方は、残酷な側面も孕む。例えば、私の勝利条件は突き詰めると、引退を自らに勧告することもある。もし100mでこの勝利条件を設定していたら、途中でこれでは無理だと判断していただろう。そうであれば早めに引退し、次の世界に行かないと世界の頂点への到達に間に合わない。勝利条件は全てに優先されるからこのようなことが起こる。シンプルに言えば戦略とは勝利条件という判断軸によって設定された目標の為にリソースを最適に配分することだ。つまり何をやらないかを決めることを意味する。日本人は昔から戦術思考、現場思考なので、スポーツではいつもリソースが分散しうまく行っていなかったのが、戦略的思考が得意な西洋人をトップに嵌め込むことで克服した例が多いと思っている。


特に日本のスポーツチームが多いのは、合議制で勝利条件を設定し、曖昧なままポエムのような目標を決め、結局戦略がないまま戦術で現場が必死に頑張るという例だ。特に情報を集めるということを軽視しがちなので、具体的なリソースを無視して高めの目標を設定しがちだ。そうなると戦略も辻褄が合わず、結果戦術で頑張るしかなくなる。この足りないリソースと、現実的にやらなければならないことの間を埋めるために気合と根性という概念が日本の体育会に誕生したのだと思っている。兵站を無視しインパール作戦で現地調達という指示を出したのに似ている。未熟なレベルでは選手の能力をストレッチさせることもあるが、熟達したレベルでは通用しない。


全ては勝利条件から始まっている。勝利条件とは夢であり、欲であり、ビジョンでもある。こと個人競技に関しては、勝利条件の設定は自分しかできない。だから、自分が本当は何をやりたいのか、成し遂げたいのかが不明確であればそれ以下の目標や戦略も全て不明瞭になり評価ができなくなる。突き詰めて自問し、自分は何を勝利条件に据えるのか、言い換えれば何を優先し、何を捨てるのかがクリアになればなるほど、選択は早くシンプルになり、成功確率は高くなる。


 トップ画像:Pixabay by SplitShire


 


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