実は「延長戦」である 速報・英国総選挙2019(下)
Japan In-depth / 2019年12月19日 18時0分
前回(2017年)の総選挙では12議席にとどまったが、その後のブレグジットをめぐる混迷の中で、ジョンソン首相の強硬な離脱路線に反対して保守党を見限ったり、あるいは追放された議員を糾合して、解散時の勢力は21議席となっていた。この勢いで労働党に代わる残留派の受け皿となれれば、40議席を超えるかも知れない、と考えたのである。ちなみに過去最高は、2001年の52議席。
ところが蓋を開けてみれば、前述のように11議席。
この予測は記事などの形で公表していなかったので、黙っていれば誰からも責められずに済むのだろうが、やはりJapan In-depthの執筆者たる者は正直でなくてはならない。
林信吾の予測が正しい場合も多いのだが、いつも必ず的中するわけではないし、必ず的中するなどと言った覚えはないと、正直に告白させていただこう。
予想外に伸びなかった自民党に対して、存在感を示したのがスコットランド国民党で、解散前の35議席から48議席へと躍進。これはまあ、想定の範囲内だったが。
もともとEU残留派が多いスコットランドではあったが、今回はジョンソン首相への批判票をかき集めた。自民党初の女性党首であったジョー・スウィンソン前議員も、選挙区はスコットランド中部の東ダンバートンシャーだったが、わずか149票の差で、スコットランド国民党の候補者に議席を奪われている。
▲写真 ジョー・スウィンソン前議員 出典:Flickr; David Spender
ここで再び、得票率の話を。
EU残留派の自民党とスコットランド国民党、それに再度の国民投票実施を公約としていた労働党の得票率を合計すると、47.1パーセントとなり、保守党の43.6パーセントを上回っている。(上)、(中)で、今次の総選挙の結果は、ブレグジットを実行すると公約した保守党の勝利と言うよりは、残留派の票をとりこぼしたり、戦略的に議席に反映させることができなかった野党の自滅であると述べたのは、数字の裏付けがある話だったのだ。
私は、ブレグジット騒動の先行きが見通せなかったこの秋、
「五分五分よりもやや高い確率で〈離脱撤回・ジョンソン辞任〉になると思うが、そうならなかった場合は、ひとまず離脱して、比較的早い段階で〈再加盟〉の気運が盛り上がるのではないか」
との予測を開陳していた。
どういうことかと言うと、保守党は離脱後のEUとの関係について、1年以内にFTA(自由貿易協定)を締結する、と公約しているのだが、同時に、新たな貿易関係を構築するまでの移行期間(2020年末まで)については、現行のEUとの協定では2022年末まで延長することが可能であるにもかかわらず、延長しない、と断言している。
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