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キャッシュレス還元祭りの後【2019年回顧・経済】

Japan In-depth / 2019年12月23日 11時0分

わかりにくさのもう一つは、この事業に参加している店が全部ではないことだ。つまり参加していない、もしくは出来ていない店があるのだ。10月1日時点では、対象になりうる中小の店舗全国およそ200万店の内、約50万店しか参加していなかった。つまり4分の1でスタートしたわけだ。さすがに12月21日までの登録加盟店数は約94万店と倍近くになったが、それでもまだ半分以下にとどまる。商店街を歩いてもポスターが貼ってある店もあれば、ない店もある。どこが対象店舗かわからないのだ。住んでいる地域によっては対象店舗がほとんどない、などということも起きかねない。



▲図)「キャッシュレス・消費者還元事業」店頭用広報ロゴ 出典:経済産業省


また、流通大手「イオン」の岡田元也社長が指摘したように、大手スーパーが同事業の対象とならないのに、コンビニチェーンが対象となるなど、公平性を欠くとの批判も出ている。


それ以前に、「クレジットカードを持っていない(作れない)人はどうするのか?」、「高齢者などに多い現金派に不公平」などの声が上がっていた。こうした声は無視されている。


 


■ 2020年の消費活性化策


さらに深刻な問題は「キャッシュレス・消費者還元事業」は9ヶ月限定(2020年6月末終了)であり、その後消費への悪影響が懸念されることだ。同事業終了後に本格的な反動減が来るのではないかとの声は同事業開始前から出ていた。


そこで政府はマイナンバーカードを活用した消費活性化策を検討している。これがまたよくわからない制度なのだ。2020年9月から2021年3月まで7カ月間、マイナンバーカード保有者に買い物で使える「マイナポイント」を配るというもの。マイナンバーカード保有者がキャッシュレス決済サービスを1つ選び、2万円分を前払いすれば5000ポイントをもらえる仕組みだという。たいした大盤振る舞いだが、これまたマイナンバーカードを持っている人にしか恩恵がないという不公平さだ。また、マイナンバーカードを保有しているだけではだめで、「マイキーID」なるものを取得しなければならないというハードルもある。



▲図)マイナンバーカードの様式について 出典:総務省


一向に普及しないマイナンバーカードの保有を増やす狙いも兼ねているらしいが、身の回りでも、カード申請が面倒だ、とか、メリットが感じられないといった声は多い。住民票などがコンビニで発行出来るとのうたい文句を信じて、戸籍謄本も取れるのかと思ったら筆者の住んでいる区では出来なかった。他の区で出来るところはあるのに、だ。こんなことではわざわざマイナンバーカードを作ろうという気にならないのも当たり前だ。


景気反動減対策なら姑息な手段はとらず、他に景気刺激策をとったらいいのではないか?ポイント還元も所詮は税金だ。アベノミクス、特に金融緩和はもはや限界に近づいている。オリンピック後に景気が落ち込むことが無いように、2020年は弥縫策ではない本格的な経済対策が求められる年となろう。


トップ写真:「キャッシュレス・消費者還元事業」をPRするため商店街を訪れた世耕弘成経産相 出典:世耕弘成facebook公式ページ


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