トランプ弾劾裁判、再選に影響も
Japan In-depth / 2019年12月24日 19時0分
ニクソン大統領の場合、まだ下院の司法委員会で、弾劾に値する行為かどうかを審議している最中といタイミングで辞任が発表された。ニクソン大統領自ら隠蔽という違法行為を命令する声が録音されたテープが公開され、弾劾裁判を行うはずだった上院の上層部からここまで明確な証拠があっては「かばいきれない」と三行半を突きつけられ、自ら辞任の道を選んだので、弾劾には至っていないが、大統領再選を眼の前にした違法行為とその隠蔽という点で、トランプの弾劾訴追と似ている。
▲写真 ニクソン元大統領 出典: Wikimedia Commons; White House Photo Office
弾劾訴追を発表したナンシー・ペローシ下院議長は、決議はしたものの上院での弾劾裁判の過程がしっかり決められるまでは提出できないと匂わせている。弾劾裁判に当たってはジョン・ロバーツ最高裁首席判事が立会い、上院議員は陪審員として「公平に全ての証拠を鑑み有罪か無罪を決める」と誓約しなければならないのだが、ミッチ・マコーネル上院議長は既に「ホワイトハウスと全面的に協力し、最短の審議で弾劾裁判を終わらせる」と公言しており、公平な陪審員ではないことを認めてしまっている。
トランプは支持者(だけ)が集まる選挙運動集会やツイッターで相変わらず威勢のいい暴言を吐いているが、弾劾裁判にはハンター・バイデンや匿名の告発人など、関係ない人物を召喚して吊るしあげたいようだ。だが、証人を呼ぶとなれば、ウクライナ大統領との取引の場にいた前国家安全保障問題担当補佐官のジョン・ボルトンや、首席補佐官代理のミック・ムルヴェーニー、さらには今もウクライナを飛び回って、トランプのライバルについてのスキャンダルを嗅ぎ回っているルドルフ・ジュリアーニ施設弁護士らを呼ばない理由はないだろう。
年明けには弾劾裁判をどう行うかですったもんだが始まり、どうなろうと弾劾裁判が実際に行われれば、共和党が過半数を握る上院でトランプ大統領が罷免される可能性は薄い。ただ、長引いた場合、支持率にどう影響が出るのかが注目される。
写真:トランプ大統領 出典:The White House
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