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尾を引くゴーン・ショック【2019年回顧・日産問題】

Japan In-depth / 2019年12月25日 18時54分

結論から言うと、EV(電気自動車)時代の到来を見込んで、EVの量産化に先鞭をつけ、三菱自動車工業も加えた3社のアライアンスを築き上げたのは、ゴーンの功績だろう。評価してしかるべきだ。



▲写真 日産のEV リーフ 出典:ルノー・日産・三菱アライアンス


しかし、HV(ハイブリッド車)の開発にストップをかけ、HV市場でトヨタの独走を許したことと、他車種のEV化や、他メーカーとのEVにおける提携などが遅々として進まなかったことは、彼の失策だと思っている。



▲写真 トヨタのHV プリウス 出典:トヨタ自動車


もともと自動車はガソリンエンジン車から、HV(ハイブリッド車)、EV、FCV(燃料電池車)と進化していくが、それには数十年の時間がかかると1990年代から言われていた。また、ガソリンエンジン車がゼロになることはなく、HV、EV、FCVと共存していく、というのが業界の共通認識というか、常識であった。


そういう意味でトヨタがHVに固執した理由はよくわかる。EVは遅れてやってくる、と踏んでいたのだ。だが、ゴーンは違った。ある意味博打を打ったのだ。だがその1点張りはリスクが大きすぎた。日産リーフはいい車だが、市場に出すのが早すぎた。ユーザーに受け入れられなかったのだ。彼らはわざわざEVを買うインセンティブを感じなかった。


そうこうしているうちに海外メーカーがEV化をどんどん進めるようになってきた。中には米テスラのようにEV専業メーカーまで誕生してしまった。日産は先行者利益を全く享受することなく現在に至っている。



▲写真 テスラモデル3 出典:テスラ


もともと司法取引をしてまでゴーン放逐を企んだ経営陣に責任はないのかと思っていたが、結局、西川前CEOも辞任させられた。当初から思っていたが、これが権力闘争でなくしてなんであろうか。


社内を掌握できなかったゴーン被告の責任は重いが、彼に責任をおっかぶせて日産の業績低迷をもたらした経営陣の責任も同じく重い。世界戦略で後れを取ったのは間違いないのだ。すべての責任をカリスマ経営者のせいにするのは潔くないだろう。


自動車メーカーはMaaS(Mobility as a Service:あらゆる公共交通機関をITでシームレスに結びつけ、効率よく使えるようにするシステム)の波に直面している。あのトヨタですら、「KINTO」なるサブスクリプションサービスを展開し始めた。危機感の現れだろう。


日産・ルノー・三菱自アライアンスはこれ以上もたついている暇はない。2020年、心機一転、新体制の下、大胆な世界戦略を推し進めなければ、アライアンスのシナジーを取り戻すどころか、トヨタとの差は開くばかりだろう。


トップ写真:日産自動車本社 出典:Photo by Wiiii


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