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反政府ストライキ、長期化も【2020年を占う・フランス】

Japan In-depth / 2019年12月31日 11時0分

改革後の年金システムでは、国鉄職員や教員など職種ごとに分かれた42の特別制度を徐々に廃止し、年金支給額の算出方法を現在の「期間」で決める方法から、「ポイント制」へ変更し、全て一本化する予定だ。定年退職の年齢については、現行の62歳を維持しつつも、より長く働くことを奨励する措置として「均衡年齢」を設定し、これより早く退職する場合は受給額が減り、遅く退職する場合は増える仕組みを導入する。そのため国鉄などの労働組合は、特権の喪失につながることへの警戒が強くなっている。


19世紀以来の伝統で、昔は石炭を扱っていた鉄道員などには、その過酷な労働環境を考慮して50代で早期退職できる優遇制度が認められていた。しかしながら、もう電車を動かすのに石炭も使用しておらず、電車の運転手の労働条件も以前のような過酷とは言いがたい状況なのにもかかわらず、62歳が定年の一般の労働者はとは明らかに待遇に差がある。


そこで新しい年金システムでは、制度を一本化することにより職種による違いがなくなることになっているが、優遇されていた職種の労働者は、今後特権がなくなり不利益をこうむるのではないかという不安をつのらせているのだ。


しかしながら、クリスマス期間にストライキが続行されるのは耐えがたい。クリスマスは日本の新年同様、フランスでは家族と過ごす期間でもある。1948年から72年間、国鉄は毎年ストライキを行って来たが、クリスマス期間までストライキがあるのは1986年以来だ。68%のフランス人は、クリスマス期間の休戦を求めており、エドゥアール・フィリップ首相も、クリスマス休暇中の交通機関スト休戦を労働組合側に要請した。



▲写真 クリスマス イメージ画像 出典:pxhere


これに対してフランス労働総同盟(CGT)が主導する労組連合は、クリスマス休暇期間も職場復帰をしないと宣言し強固な姿勢をとったが、規模としては2番目に位置するSNCFの独立組合全国連合(UNSA)は組合員に「クリスマス休戦」を提唱しているため、交通機関の不便さは多少緩和される可能性はあるので、希望は失わないでおきたいところだ。


組合側は来年1月9日にさらなる活動を行うと決めたと発言しており、2020年の新年早々、新たな大型のストライキとデモが行われることとなる。一方、フィリップ首相は、政府が年金財政の立て直しと一部の労働者が最高10年も通常より前倒しで年金を受け取れる制度廃止に全力で取り組むと強調し、また、労働組合との話し合いは進んでおり、残っている対立点は来年1月の新たな協議で解決可能だとの見方を示した。新年早々から見逃せない動きとなるだろう。


2020年には統一市町村選挙も控えている。フランスの2020年は今年に引き続きストライキも多く、激動の年でもあるが、その不便さを乗り越えながらも新しい体勢が築かれる進化の年にもなりそうである。


 


<参考資料>


SNCF


RTL


flanceinfo


leParisien


Parismatch


lefigaro


huffingtonpost


トップ写真:マクロン大統領 出典:flickr photo by euronews


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