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北朝鮮、対米「蜜月」終焉へ【2020年を占う・国際情勢】

Japan In-depth / 2020年1月2日 7時0分

4.中長期と短期の予測を区別すべし


 概論ばかり書いても仕方がないので、本論に入ろう。次の指針は歴史的大局観の重要さだ。現代世界史の最大の特徴は、中国の台頭、米国政治の劣化、ロシアの(意外な)健闘であり、この傾向は「米中覇権争い」「中露『弱者同盟』」「中東での米露『グレートゲーム』」という形で顕在化しつつある。されば、これらはいずれも一時的現象ではなく、当面続くと筆者は考える。それ以外は従属変数か短期的現象に過ぎない。


5.短期的予測は外れる


 そうした従属変数や短期的動向の例を幾つか挙げよう。非核化しない北朝鮮は対米「蜜月」が終わり再び強硬化する。韓国は実力を伴わない「バランス」外交を続け、「虻蜂取らず」に終わる。中国はトランプ政権と取引せず、香港やウイグルなどで今まで通り人権侵害を続け譲歩しない。日中関係は戦術的に改善する。経済制裁下のロシアは解除に向け欧米への内政干渉や外交的圧力を続けるが、あまり成功しない。


 欧州は英EU離脱でも独仏連携が続く限り当面安泰、東欧でのロシア干渉が不安定要因か。米国の圧力に抵抗してきたイランは従来の中東での対外干渉のツケを払う時期に来ているが、湾岸地域で大戦争は相互に抑止される。他の中東地域は米イラン対立の狭間で各国が自国益を最大化する行動を続ける、すなわち一部の例外を除き、独裁政権が存続する・・。でも、これら短期的予測は外れることが多いが・・。


6.「地政学リスク」などと言う勿れ


 第6の指針は「地政学リスク」なる概念を正確に理解することだ。そもそも、多くの人が「地政学リスク」なる概念を無条件に使っているが、実は誰もそれを定義できていない。当然だろう、定義など不可能であり、「地政学リスク」なる語を使う人は「自らの無知」を自認するのと同じだからだ。こんな議論をするぐらいなら、読者の皆さん一人一人が、関心ある地域をめぐる歴史的大局を考えた方がはるかに生産的だろう。


7.自分の歴史観を確立する


 最後の指針は、自らの歴史観を持つことの重要性だ。占い師や専門家の「当たるも八卦」を信ずるよりは、皆様ご自身の経験則に基づき、上述の歴史的大局のイメージを膨らませ、ご自身の大局観を作り上げて頂きたい。勿論、筆者のものと同じである必要はない。筆者の経験では、各自の大局観が多少異なっても、正しい大局観でさえあれば、未来予測の仮説はそう大きく変わらないと確信するからだ。


改めて、2020年が皆さまにとって良い年となりますように。


トップ写真:G20でのトランプ大統領と習近平国家主席の会談 出典:Flickr: The white house


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