米の対北交渉の失敗、明らか
Japan In-depth / 2020年1月4日 23時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019#53」
2019年1月1-7日
【まとめ】
・金正恩朝鮮労働党委員長「新年の辞」を発表。
・米との非核化交渉次第で核実験やICBM発射再開する可能性示唆。
・米国の対北朝鮮交渉の失敗は明らか。
謹賀新年
今年最初となる本原稿は昨年同様、元旦の夜に書いている。齢66歳にもなると、お正月と言われても昔のような興奮はない。子供の頃はお年玉を貰えたものだが、筆者の子供たちだって今やお年玉という歳ではない。これからは毎年、孫たちにお年玉を強請られる時代が来るのだろう。皆様のお正月はどうだっただろうか。
さて、昨年は金正恩朝鮮労働党委員長が朝鮮中央テレビを通じ「新年の辞」を発表したが、今年は2日未明現在、未だ「新年の辞」は出ていない。その代わりなのだろうか、朝鮮中央通信は元日に、12月28日から31日まで開かれた朝鮮労働党中央委員会総会の模様を報じている。同委員長の発言は概ね次の通りだったらしい。
・米国は対話を唱えながらも、朝鮮を完全に窒息させ圧殺しようと二面的な態度を取っている
・米国が対北朝鮮敵視政策を追求するなら朝鮮半島の非核化は永遠にない。我々が公約に一方的に縛られる根拠はなくなった
・米国の敵視政策が撤回され、朝鮮半島に恒久的な平和体制が構築されるまで、国家安全のため戦略武器開発を中断なく続ける
・世界は遠からず、朝鮮が保有する新たな戦略兵器を目撃することになる
・人民が受けた苦痛と抑制された発展の対価をきれいに受け取るための衝撃的な実際行動に移るだろう
・我々の核抑止力強化の幅と深さは、米国の今後の立場によって調整される
要するに2018年の中央委員会総会の決定を撤回し、非核化交渉に臨む米国の姿勢次第では核実験やICBM発射を再開する可能性を示し、今後再び北朝鮮国民の生活が厳しくなることを正当化しようと予防線を張っているのだろう。
以上を昨年の「新年の辞」の内容(下記参照)と比べれば、米国の対北朝鮮交渉の失敗は明らかだ。
▲写真 トランプ大統領・金委員長 出典)Flickr; The White House
1.朝鮮半島に恒久的な平和体制を構築し、完全な非核化に進もうとすることは、党と政府の不変の立場で、私の確固たる意志だ
2.既にこれ以上、核兵器をつくりも実験しもせず、使いも広めもしないと宣言してきた
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