米イラン対立大戦争に至らず
Japan In-depth / 2020年1月8日 18時0分
いずれにせよ、筆者のこの事件に対する見立ても一貫している。イランは正規戦でアメリカ軍に敵う訳がない。イラン自身がそれを最もよく知っているはずだ。さればイランの報復は代理戦争と非正規戦だろう。イランが余程の誤算をしない限り、いずれにせよトランプ氏は誤算を続けるだろうが、大戦争には至らないと見る。
今回の対米軍基地ミサイル攻撃で米軍に死者が出ていると聞いた。トランプはこれにどう対応するか。ということで、筆者はこれからシンガポールとインドネシアに出張する。昨日までの筆者の見立てについては、今週のJapanTimesと日経BPのコラムをご一読願いたい。
〇アジア
米イラン緊張でアジアでは誰が最も影響を受けるか?答えは北朝鮮と中国だろうが、両国の思惑は少し違う。北朝鮮はこんなトランプの米国に再び「ちょっかい」を出すだろうか。トランプの予測不可能性がどう働くかに関心がある。中国はこれを対米牽制の好機と見るだろう。徹底的にイランを支持し、米国との交渉を有利にしたいはずだ。
〇欧州・ロシア
先週欧州で大きな動きはなかったが、各種報道は「ソレイマーニ司令官殺害を巡り、欧州で戸惑いが広がっている。表向きは同盟を結ぶ米国との連帯を示すが、中東の戦乱が欧州に飛び火する事態を避けたいのが本音だ(日経)」といった記事が流れている。欧州諸国も困っているだろう。しかし、彼らができることには限界がある。
〇中東
米イラン対立激化で焦点となるのが在イラク駐留米軍5000名の行方だ。先日イラク議会は米軍撤退要求を決議したようだが、その決議に法的拘束力はなく、現在イラクの内閣は現職首相の辞任表明を経て脳死状態にある。ここで米軍が撤退するとは思わないが、万一米軍が撤退せざるを得なくなれば、これはイランの勝利である。
〇南北アメリカ
米大統領弾劾問題は今も停滞、本件は未だ上院に送付されていない。そうした中、ボルトン全安全保障担当補佐官が「上院での弾劾裁判で召喚状が出されれば証言に応じる」と発表し、ちょっとした議論になっている。
しかし、ボルトンは回顧録出版を控えており、証言したくないのが本音。共和党が多数を占める上院では召喚状は出ないと足元を見ているのだろう。ワシントンの政治もやはり魑魅魍魎の世界である。
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは来週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:殺害されたソレイマーニ司令官の葬儀と群集
出典:Photo by Majid Asgaripour
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