環境先進国日本脱石炭見通せず
Japan In-depth / 2020年1月19日 0時52分
▲写真 南極の昭和基地に近づいた「しらせ」より撮影(2019年12月)出典: 国立極地研究所 twitter
■ 地球温暖化は先進国の責任が大
1997年に日本が主導し、京都市で開かれたCOP3では温暖化対策の国際ルール「京都議定書」を採択。“先進国が過去に排出した温室効果ガスが温暖化の原因である”とし、過去に大量の温室効果ガスを排出した先進国に排出削減義務を課していた。しかし、15年のパリ協定では途上国を含む全ての国が削減に取り組むべきだと義務付けた。もはや先進国の削減だけでは温暖化を防ぐことはできないと判断したからだ。
ただ気温の上昇を2度に抑えるには、各国が現在掲げている対策の削減目標を3倍、1.5度なら5倍にする必要がある。このためCOP25の議論では、各国の立場の違い、利害もあってかみ合わず、温暖化の被害を受けやすいツバルやカリブ海諸国などは強い表現で各国に削減目標の引き上げを迫る決議を要求したが、排出権が多い中国や新興国は強い表現に消極的だった。
結局、具体的な目標引き上げ数字を表現に入れなかったものの、間接的に削減目標の引き上げを要請する内容で妥協したが、実際は各国が約束を表明している削減目標を実現したとしても気温上昇を2~1.5度に抑えることはできないという。従っていずれ削減目標をさらに引き上げられる合意が採択されることになるとみられている。
過去において気候危機への対応を最初に表明したのはヨーロッパだった。欧州連合(EU)の委員会は2030年までに1990年比で従来決めた40%から少なくとも50%、できれば55%の削減を目指すと宣言した。欧州も含め削減目標の引き上げを表明したのは84ヵ国だったが、温室効果ガス排出量1位の中国と2位のアメリカは対策を引き上げる宣言をしなかった。
日本の現在の目標は2013年比で2030年までに26%減らすと表明してきた。しかし、日本は石炭火力発電を今後17基建設する計画がある上、石炭火力発電装置を数多く輸出する意向が強い。小泉進次郎環境相は「増設や輸出に世界から批判のあることは承知していた」が、石炭火力発電は電源の選択肢として残しておきたいとする経済産業省や企業の声が強く国内調整ができなかったのだ。
▲画像 スペイン・マドリードで開かれたCOP25でスピーチをする小泉環境相 出典: Green Climate Fund twitter
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