晴れること無き日本郵政の闇
Japan In-depth / 2020年1月23日 18時0分
ただ、これで問題は一区切りという見方もあるが逆だ。民営化以来、長年に渡りたまってきた矛盾や現場の不満が噴出しただけである。割れた壺はどうやっても元には戻らないのだ。
長門氏は辞任会見の際、「郵政民営化は国家事業であり、国民に貢献できると思って社長を引き受けた」と語っているが、実際は暴走するノルマを止められなかった。
長門氏はかんぽ不正問題について「(日本郵政の)取締役会に全く情報があがってこなかった」と弁明していたが、それは日本郵政グループの企業統治(ガバナンス)が機能していないと白状したに等しい。民営化で郵政3事業が分断され、経営幹部が現場の現状を顧みることなく責任逃れに終始するなかで日本郵政は存続すら危ぶまれる窮地に陥ったのだ。
新社長となった増田寛也元総務相にも不安のタネは尽きない。増田氏は旧建設省キャリア官僚出身で、総務相のほか岩手県知事などを歴任。2013年から4年にわたり郵政民営化委員会の委員長を務めるなど安倍政権に近く、16年の都知事選では官邸に請われ出馬している。
▲写真 大学で教鞭をとる増田氏 出典:増田寛也氏Twitter
企業経営の経験がない増田氏は、就任会見では「まず法令順守など内部管理の徹底が喫緊の課題となる」と語り、「まずは行政的な経営を行って安全運転に徹する。私の任期は(株主総会と取締役会が開かれる)今年6月までと思っている」と述べた。
しかし、日本郵政を覆う闇はトップの首を挿げ替えても絶対に晴れることはないだろう。「国有民営」企業体は元官僚による「国有官営」的に変わったが、官邸と総務省、そして金融庁による“多重統治”の構図は変わらないからだ。
出典:Wikimedia Commons; パブリックドメイン
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