世銀が中国を援助する不思議
Japan In-depth / 2020年2月4日 11時0分
▲ トランプ大統領の中国の世界銀行による資金融資への抗議表明ツイート 出典:twitter: Donald J.Trump
つまりアメリカ政府は世界銀行が公式に中国への支援の継続を決めた「国別パートナーシップ枠組み」への反対を明らかにしてきたのである。
アメリカ政府は世銀の出資金全体の17%を提供する最大出資国である。世銀の総裁もアメリカから選ばれ、いまは財務省出身のデービッド・マルパス氏が務めている。
▲写真 デービット・マルパス氏(右)とベナンのパトリス・タロン大統領(左)出典:twitter: David Malpas
アメリカ政府はトランプ政権になって中国がなお援助融資を受けていることに対して明確な反対を表明するようになった。しかもその反対はトランプ政権だけでなく議会上院の共和党多数派からも強く打ち出されていた。
だが世銀では主要政策は加盟国全体の多数決で決められるため、アメリカ側の意見は排されてきた。
アメリカ側の見解についてアメリカ政府と世界銀行の両方で高官を務めた開発援助の専門家ダニエル・ルンデ氏は以下のように説明していた。
(1)中国は世界でも最大の外貨約3兆ドルを保有しており、開発資金には国際機関からの支援を必要としない。
(2)中国は国民一人当たりのGDPでもすでに9500ドルに達し、援助受け入れ国を卒業した。
(3)中国は国際的な開発事業では自国主体のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)を保有している。
(4)中国は世銀から得た5000万ドルの資金を新疆ウイグル地区のウイグル人弾圧の「教育・訓練プログラム」に直接、投入した。
ルンデ氏は以上の諸点を提起して、中国はもう世銀の支援を受けるべきではない、と主張した。中国はこれまでの世銀からの資金を自国の軍事増強や人権抑圧政策などに回してきた、とも非難したのだった。
ルンデ氏は総括として世界銀行の中国への支援融資は今後5年ほどの間に大幅に削減して、やがてはゼロにすることを主張していた。
トランプ大統領のツイッターでの反対意見は政府や議会のこの種の総意を踏まえての抗議表明だったわけである。
日本は世界銀行にはアメリカに次ぐ二番目の額を出資してきた。その一方、日本は中国に対して二国間の直接の政府開発援助(ODA)を2018年まで40年間も供与してきた。だがなお日本国民の血税からの公的資金は世界銀行を通じて中国へ提供されているのである。
トップ写真:中国イメージ 出典:pikrepo
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