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インドネシア、中国鮮魚輸入全面禁止へ

Japan In-depth / 2020年2月9日 22時51分

 


■ 中国大使は入国制限に猛反発


在インドネシアのシャオ・チャン中国大使はインドネシア政府が2月5日から実施すると発表した中国からの航空機の乗り入れ禁止と中国人旅行者、中国を訪問した外国人の入国制限に関して「旅行制限を課していない世界保健機関(WHO)の決定に従うべきだ。インドネシアの経済と投資に否定的な影響を与えるようなことを講じ、過剰反応しないように、そして冷静に対応してほしい」(4日付け英字紙ジャカルタ・ポスト紙電子版)と申し入れていた。


こうした中国政府の姿勢を反映した中国大使の申し入れだけに、今回の水産漁業省による輸入制限は「鮮魚に限定したもの」とはいえ、新型肺炎が魚類に感染したとの報告はこれまでのところないことなどから中国側は強く反発、抗議するものとみられている。


 


■ 背景に南シナ海の漁業権益問題も関係か


こうしたインドネシア政府の強い対策はあくまで「インドネシア国内への新型肺炎の感染防止」「インドネシア国民の保護」を最優先した結果とされている。


しかしその一方で2019年12月から2020年1月初めにかけてインドネシア・リアウ諸島州ナトゥナ諸島周辺海域でインドネシアの海軍、海上法執行機関などの艦艇と中国漁船と中国海警局艦艇による激しいつばぜり合いがあったことも無関係ではないとの見方も有力だ。



▲写真 インドネシア沿岸警備船 出典:Indonesian Ministry of Transportation


国連の海洋法条約に基づくインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と中国が一方的に宣言している九段線が南シナ海南端、ナトゥナ諸島北方海域で重複しており、インドネシアのEEZ内で無許可の違法操業をする中国漁船約60隻とそれをエスコートする海警局艦艇6隻に対しインドネシア側がEEZ外退去を求める状態が続いていたのだ。


その際、インドネシア政府は在インドネシア中国大使館に厳しく抗議したが、中国側は一方的主張を繰り返すだけだったといわれている。


インドネシアは海軍艦艇や空軍戦闘機、要員を同海域に増派して対抗する強硬措置に打って出たことから最終的には1月13日に中国側は全艦艇がEEZ外に退去した。


こうした南シナ海での海洋権益を巡る中国との争いが今回のインドネシア側の「中国からの鮮魚輸入禁止」と関係あるのではないか、ジョコ・ウィドド政権による中国への「意趣返し」ではないか、との見方が一部マスコミ関係者や最大与党「闘争民主党(PDIP)」幹部の間から聞こえてくる。


感染者ゼロを続けて国内感染を抑えこみたいジョコ・ウィドド政権だけに「この際できることはとにかく何でもやる」ことを徹底しており、まずは複雑な背景が存在する中国の鮮魚から手をつけてみせた、ということで今後の中国の出方が注目されている。


トップ写真:インドネシアのスカルノハッタ国際空港 出典:wikimedia: Sabung.hamster aka Everyone Sinks Starco


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