コロナ拡散で習近平体制危機
Japan In-depth / 2020年2月25日 23時0分
●感染症の急拡大は共産党政権が習体制下でさらに弾圧、秘密、排外を強めたことが大きな原因となった。習氏は権力の独占を強め、カルト的な独裁体制を固めてきたが、今回の感染症拡散では疾患に効果的に対応できないという意外な弱点を暴露した。
●感染症拡大は中国の国内では政権の無対策や閉鎖性への国民の怒りを増し、政府の統治能力への国民の軽蔑を招いた。習氏自身がそのことを認識し、実際の革命が迫ってきたような切迫感や懸念を強めている。
●感染症は国際的には中国への居住や留学、そして中国との経済取引の安全性の欠落を印象づけた。その結果、中国のグローバルなイメージは決定的に変わり、多数の諸国は中国を国際秩序への脅威とみなすだろう。
オースリン氏は以上のように今回のコロナウイルスの感染症が中国の国家としてのあり方への基本的な疑問を突きつけただけでなく、習近平主席自身の統治能力の不足の証明となった側面を強調していた。そしてさらに以下のような諸点を述べていた。
●習近平氏自身は現状を中国の現体制自体への危機であり、脅威だとみなし、革命が起きかねないとみている。そのため武漢だけでなく湖北省全体の約5000万の住民を事実上、封鎖する措置をとった。
●習主席は国内で自分の地位を固め、対外的にはアメリカと対決するなど野心的な言動をとってきたが、今回の事件でその基盤となる国家の弱さが露呈し、世界の対中観を変えつつある。その間、習氏自身は公式の場から後退し、責任を逃れるかのような言動をみせた。
▲写真 習近平主席 出典:ロシア大統領府
オースリン氏は習近平氏と同政権へのこのような厳しい評価を下しながら、論文の最後で「感染症の広がりは習政権にとってより不吉な効果を引き起こしかねず、『第二の武漢革命』の可能性も否定すべきではない」と結んでいた。アメリカ側で現在の中国共産党政権に対する、こうした根幹的な否定総括が出てきたことは注視せざるをえないだろう。
こうした非難の標的となり、国際的にも苦境に追い込まれた習近平主席をまもなく国賓として招くという日本政府の計画の不適切さはあまりにも明白だろう。
トップ画像:マスクをして買い物に走る武漢市民 1月22日 出典:Chinanews.com / China News Service
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