新型ウイルス感染全米規模に
Japan In-depth / 2020年3月10日 23時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の安保カレンダー【速報版】 2020#11」
2020年3月9-15日
【まとめ】
・新型ウイルス、全米規模で静かなパニックが始まった。
・韓国外交部は日本の韓国人入国規制強化について対抗措置。
・ウイルス感染拡大で世界各地の株式、原油、為替相場の急落・急騰。
先週後半、駆け足で米国出張を敢行(?)した。全米日米協会連合会から依頼があり、ケンタッキー大学と同州日米協会で日米安保関係につき講演してきたのだ。筆者がケンタッキー州レキシントンを離れた金曜の午後、同州で初のコロナウイルス感染者が見つかった。州知事は一人の感染者発見だけで直ちに非常事態を宣言した。
米国でのウイルス感染は確実に広がっている。されど、ウイルス感染に関するトランプ発言は相変わらず支離滅裂だ。先週は「パニックなど不要。専門家がしっかり対応している」などとツイート、挙句の果てには「外出しても治った人々は数多くいる」などと言い出す始末。理解に苦しむとしか言いようがない。
恐らく、今後は米国でも多数の感染者と死者が出るだろう。全米規模で静かなパニックが始まったと見てよい。サンフランシスコでは3500人の乗客乗員を乗せた豪華クルーズ客船で感染者が発生。あれ、これって2月に横浜で大騒ぎになった客船と同じオーナーの船じゃないか。お客様たちは、誠にお気の毒である。
新型ウイルスといえば、3月8日、韓国外交部は日本の韓国人入国規制強化について対抗措置をとった。韓国側は「保健面での国民の安全を最優先し、節制された相応の措置」だと説明しているが、日本の措置には科学的根拠がある。相手が日本となると「理屈ではない」反応をする韓国のパターンはここでも繰り返された。
今週の詳細版では、ウイルス感染拡大で生じた世界各地の株式市場、原油相場、為替相場の急落・急騰が国際政治全般や日本外交に及ぼす影響について考えてみたい。簡単にいえば、世界でパンデミックが始まったのだから、誰も止められないということ。感染が止まらなければ、最後は行く着くところまで行くことになるだろう。
▲写真:証券取引所(イメージ)出典:Pixabay;fototve
3月3日のスーパーチューズデーの結果は多くの人々にとって驚きだった。バイデン候補があそこまでカムバックしてくるとは思わなかった。米国では「極左」に近いサンダース候補を目の敵にする民主党主流派の努力がようやく実ったのか。だが、サンダース氏は決して妥協しないので、簡単にバイデン候補の「楽勝」とはならないだろう。
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