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トランプ支持率急上昇のなぜ

Japan In-depth / 2020年3月25日 23時0分

トランプ大統領が国家非常事態宣言や集団感染地域での隔離政策、民間企業の大幅動員、緊急経済支援策の推進など具体的な措置をとっていることは事実である。だが、その成果は明確には出ていない。


ただしその政策を国民一般に知らせる広報活動が前例のないほど大規模で頻繁となっている。ホワイトハウスからの連日の国民への報告、要請がテレビで実況中継され、一時間以上も続く。


しかもトランプ大統領は自身が記者団からの質問に熱心に答えるだけでなく、大統領直轄のコロナウイルス対策本部の本部長マイク・ペンス副大統領や同本部顧問のアンソニー・ファウチ医師(国立アレルギー感染症研究所所長)、同本部調整官のデボラ・バークス医師らを横に並べて、自由に答弁や発言をさせている。


これらの3人の補佐役がみな複雑な課題に明快かつ懇切に実にみごとな解説を述べている。トランプ政権にしては珍しいこの円滑なチームワークが一般国民の好評を得ているといえそうだ。



▲写真 コロナウイルスに関するプレスブリーフィングの様子 出典:Flickr; The White House


トランプ大統領支持がなぜ、この時点で高まったのかについての第二の理由は、アメリカでの国家の重大な危機には国民が一致団結する歴史的な傾向である。


私自身の体験でも2001年9月のイスラム過激派、アルカーイダによるアメリカに対する同時多発のテロ攻撃の際には、明らかにアメリカ国民は超党派で断固たる一致団結をみせた。時の大統領の下での団結だった。


このテロの際の大統領は二代目のジョージ・ブッシュ氏だった。ブッシュ大統領に対しては就任当初から批判や抗議が多かった。ブッシュ氏がその前年の2000年11月の大統領選挙で民主党候補のアル・ゴア元副大統領と稀なほどの大接戦となって、得票の計算だけでは結論が出ず、最高裁判所の判断を仰いでやっと勝者と判定されたからだった。民主党側はブッシュ大統領の正当性をなかなか認めなかったわけだ。


ところがブッシュ大統領就任から7ヶ月余りで起きたテロ攻撃でアメリカ国民数千人が一気に殺されると、その反撃には国民も野党も大統領の下で固い結束をみせたのだった。一部の世論調査ではブッシュ大統領への支持率は数週間で30ポイントも高くなった。


ギャロップ社の世論分析専門家のジェフリー・ジョーンズ氏も「アメリカでは国家の危機となると、現職大統領の支持率が高くなることは歴史的なパターンであり、最もわかりやすい例は第二次世界大戦発生時でのフランクリン・ルーズベルト大統領への驚異的な国民の支持の高まりだった」と述べていた。


とはいえ、肝心のアメリカ国内でのコロナウイルス感染の拡大はまだ止まる兆しをみせていない。トランプ大統領の対策の真価が問われるのはこれからである。


だが今回のギャロップ社の世論調査結果はトランプ大統領の政敵の民主党大統領候補たちや民主党支持の大手メディアだけでなく、トランプ陣営自体をも驚かせたようだった。


トップ写真:コロナウイルスに関するブリーフィングの様子 出典:Donald Trump Twitter


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