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米国新型ウイルスとの戦い 4

Japan In-depth / 2020年3月27日 12時33分

 一方、米議会は、3月5日に新型ウイルス対策に83億ドルをつぎ込んだが、経済が急落する中、影響が深刻な企業だけではなく、一般市民の救済を目的とした新たな法案を先ず上院が3月26日に採決した。その後下院で承認され大統領が署名すると正式な法案となる。この法案は、トランプ政権・共和党と民主党との間で数度に渡って争われた。共和党案は深刻な影響を受けた特定大企業中心の救済案だったが、民主党は中小企業や個人への支援を強調した。失業保険支給額を巡る一部の共和党議員からの反対もあったが、難交渉の上結局2兆ドル(約220兆円)で妥協が成立した。この額は米国の国内総生産(GDP)の約10パーセントに匹敵する。望外な額だ。


2兆ドルのうち、5,000億ドルが経済困難になった大企業へのローンプログラムに、3,500億ドルが小規模事業者への連邦政府保証のローン資金に、1,500億ドルが州政府や地方自治体へ、1,000億ドルが病院等医療関係への支援に回される。


救済パッケージの目玉の一つが一般市民への直接の現金給付で、年収が7万5千ドルまでの人には大人一人当たり1,200ドル、年収がそれ以上で9万9千ドル未満の場合には順次減額、それ以上の人にはゼロ、子供は一人当たり500ドル給付するというものである。3月23日時点で自宅待機の人口が800万人ともいわれる中、短期的にも現金給付が必要な人達が急増していることによる。


 資金が恣意的に流用されないように、監察長官を任命し、監視体制を設立する。2008年のリーマンショック時の救済金が大企業に流れたことが批判されたことの教訓である。


また、失業保険適用の13週間延長、フリーランスやUber運転手など不定期個人事業者などへの救済策も盛り込まれている。これでも救済額が足りないとの批判もあるが、取り敢えず、緊急の支援策となった。


国際通貨機関(IMF)は、3月23日世界が深刻な2008年のリーマンショック時かあるいはそれよりひどい景気後退(リセッション)になる可能性を指摘した。その場合景気回復は2021年になるという。世界経済を牽引する米国経済がさらに悪化するのか改善するのかは、新型ウイルスをどの時点で食い止めることが出来るかにかかっている。米国の感染者が3月26日の時点で8万人を超え中国を抜いて世界一となり、死者が1000人を超え、さらに急増することが確実な中、劇的な措置で短期決戦をするのか、隔離対策を緩和し長期戦となるのか、政治的決断が必要になってきている。


 


トップ画像)pixabay: iXimus / 105 beelden


 


 


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