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トランプ“目の敵”人物図鑑 その1 テドロスWHO事務局長

Japan In-depth / 2020年4月18日 18時0分

3月初旬にアメリカでも新型コロナウイルス感染者が出始めた頃は「そのうち気候が暖かくなれば、消えていく」とその感染力を完全に見くびっていたトランプだが、4月15日時点で確認された感染者は67万人、死者は3万4000人と世界トップに躍り出た。初動が遅れ、今も連邦全体での封鎖命令もなければPCR検査数も人口の1%にも満たず、記者会見でも毎回自らの責任を全て棚上げしてスケープゴートの発掘に忙しい。


そんなトランプの最新の標的はWHOのテドロス事務局長のようだ。WHOの年間予算の約15%に当たる4億ドルの資金拠出停止の理由として、「極端に中国より」「中立的な情報提供をしなかった」などを挙げている。テドロス事務局長の前職は祖国エチオピアの保健相で、中国の推薦もあってWHO事務局長に就任した。そしてエチオピアといえば中国からの直接投資(FDI)が全体の6割を占めるほどで、ずぶずぶの関係なのは否定できないだろう。



▲写真 テドロスWHO事務局長(左)と中国の習近平国家主席(右)(2020年1月28日 北京)出典: Tedros Adhanom Ghebreyesus facebook


中国湖北省の武漢市を中心に最初にCovid-19が広がりをみせた時、WHOは中国政府の対応を手放しで称賛したのは事実だ。感染封じ込めに成功している台湾で、WHOの代表者がTVインタビューに応じ、「一つの中国」政策を支持するかのように台湾(だけ)についての質問を無視したことに端を発したSNSからの攻撃に、テドロス事務局長がわざわざ「個人的に人種差別的な攻撃を受けている」と非難したことも大人気ない。


だが、既にトランプの拠出資金停止発言も大人気ないと批判されている。Covid-19対策として唯一トランプが素早く取り組んだのは1月末に中国からの渡航を禁止したことぐらいだが、これも国内のトランプ支持者に向けた「中国叩きポーズ」の一つで、結局その政策もヨーロッパからの渡航を制限しなかったために何の効力もなかった。


世界規模のパンデミックが広がりをみせる中、資金を凍結するという非人道的な措置だが、おそらく実現はしない。三権分立のアメリカでは、大統領ひとりの権限で金の流れを好き勝手に止めることはできないからだ。既に米国会のナンシー・ペローシ下院議長は、これを「違法であり、断固阻止する」と明言している。トランプは「この2〜3か月でWHOの調査をする」と発言したが、その間に決行しない言い訳を出してくるはずだ。



▲写真 ナンシー・ペローシ下院議長(2019年6月1日)出典: flickr; Gage Skidmore


だがトランプお得意の「気に入らない組織を攻撃するために、自分のものでもないカネを出すのをやめる」というのは既視感がある。自分の再選への協力と引き換えに、ウクライナへの軍事援助を打ち切ろうとして弾劾裁判になったのではなかったか。


トップ写真:テドロスWHO事務局長(2020年3月20日)出典:Tedros Adhanom Ghebreyesus facebook


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