新型コロナ鈍い政府の反応
Japan In-depth / 2020年5月13日 18時0分
WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を発したのは1月30日だが、日本の安倍首相はそれから2ヵ月以上経ってからようやく宣言を出した。それまでの日本政府の関心はオリンピックの延期問題にあり「絶対に開催します」と言い続けていたのである。
日本政府のこれまでの対応は社会経済活動の再開とウイルス感染防止の“両立”を模索してきた点にあり、両立の重要性を何度も強調してきた。外出自粛や休業要請があまり長引くと企業のコロナ倒産が続発し日本経済の回復が不能状態になると懸念しているのだ。
しかし命と経済回復のどちらが大切かといえば答えは言うまでもない。経済対策は金融や財政などでいくらでも対策の立てようがあるはずなのだ。むしろPCR検査や感染経路の追跡、医療対策の充実などにまず力を入れるべきだっただろう。
厚生労働省は1日約2万件のPCR検査を目標に掲げているが、実施可能件数は1万6000件といい、実際の実施件数は1日最大で9000件程度にとどまっている。検査が進まない理由として保健所の業務が多忙であることや検査を担う地方衛生研究所の体制が十分でない、検査を担う人の防護服が不足している、検体を運ぶ業者の不足――などをあげている。だとしたら民間の応援を頼むなどの工夫もあってしかるべきなのにそこにも手を付けていない。ウイルス感染症に対する感度が国全体として鈍いのではないかと思わざるを得ない。
参考まで8日付の時事通信のサイトに興味深い記事があったので紹介したい。
「日本の指導者、国民評価で最下位 コロナ対策の国際比較」 2020年05月08日20時33分
【ロンドン時事】23カ国・地域の人々を対象にそれぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、日本が最下位となった。日本の感染者数、死者数は世界との比較では決して多いわけではないが、安倍晋三首相らの指導力に対する日本国民の厳しい評価が浮き彫りになった。
調査はシンガポールのブラックボックス・リサーチとフランスのトルーナが共同で実施。政治、経済、地域社会、メディアの4分野でそれぞれの指導者の評価を指数化した。日本は全4分野のいずれも最下位で、総合指数も最低だった。
政治分野では、日本で安倍政権の対応を高く評価した人の割合は全体の5%にとどまり、中国(86%)、ベトナム(82%)、ニュージーランド(67%)などに大きく劣った。日本に次いで低かったのは香港(11%)で、フランス(14%)が続いた。世界平均は40%で、感染者・死者ともに世界最多の米国は32%、韓国は21%だった。
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