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中国漁船、死亡船員を水葬に

Japan In-depth / 2020年5月14日 18時0分

インドネシア船員らは「契約書では航海中の死亡は最寄りの港に寄港して火葬して本国に戻し、家族には1000米ドル相当が支払われることになっており、遺体海中投棄には驚いた」としている。中国船長らは韓国港湾当局に対して「契約書では水葬もやむなしとなっており、アリ氏の場合は家族に事前に連絡して水葬の許可もとっている」としているが、韓国のインドネシア大使館やインドネシア外務省ではその事実を確認していない。


このほか4月27日に釜山に寄港した中国漁船から急病人として釜山の病院に急搬送されたインドネシア人のEP氏は同日病院で手当てのかいなく死亡、医師は「死因は肺炎とみられる」と診断した。


EP氏は釜山に向かう途中衛星経由のテレビ通話で漁船からスマトラ島の母親と会話しており、その際EP氏は「体調を崩している」と話し、母親によると顔が異常にはれていたという。その後「上陸後すぐにインドネシアに帰る」と伝えてきたが、その次に届いたのが死亡の連絡だったという。


スマトラの故郷で葬儀を終えたEP氏の母親は、遺体に複数の不審な傷があったことから船上で暴行を受けていた可能性もあるとして、インドネシア政府に対し「何が起きたのかを明らかにしてほしい」と要求する事態になっている。


インドネシアのルトノ・マルスディ外相は5月7日に在インドネシア中国大使を呼んで「インドネシア人船員に対する処遇に問題がなかったかどうか真相解明を求める」と強く要求した。



▲写真 インドネシアのルトノ・マルスディ外相(2020年3月17日)出典:インドネシア外務省facebook


インドネシアの人権団体などは「インドネシア人船員の1年2カ月の給与は1カ月約1000円という考えられない低賃金であり、労働問題というより人権侵害である」として、インドネシア人船員を中国漁船の会社に斡旋して派遣したインドネシアの会社にも「人身売買の疑いもある」として捜査するよう警察に訴えることも検討している。


この中国船団は表向きマグロ漁が目的だが、インドネシア人船員によると高級食材である「フカヒレ」を主な目的にしていたという。1年2カ月の間死者が出ても一切寄港せずに「水葬」してきた背景にはこうした違法操業の発覚を恐れたこともあるとみて現在韓国の海上法執行機関などが中国人船長、乗組員に対して詳しい事情聴取と捜査を実施しているという。


インドネシアの人権団体や弁護士などは、中国側が「新型コロナウイルスによる感染を防止するためにやむなく遺体を海中投棄した」という内容の弁明を始めているとの情報に接し、「コロナのせいにすればなんでも正当化できると思っている中国の説明を政府は鵜呑みにするべきではない」と強い姿勢を示しており、この問題がインドネシア・中国の2国間関係に発展する可能性も出ている。


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