比、違法就労中国人一斉逮捕
Japan In-depth / 2020年6月9日 11時0分
■ 中国人による違法行為の拠点、マニラ
フィリピン国家警察や入国管理局などによると、こうしたオンライン・カジノやオンライン振り込め詐欺など、中国本土で禁止されているインターネットを利用した犯罪に従事する中国人の大半が観光ビザでフィリピンに入国しているという。
中国人によるこのような「違法なカジノや振り込め詐欺」などの犯罪はこれまでもマニラ首都圏やその周辺で多く摘発され、容疑者の大半が中国本土に強制送還されている。
入管当局などによると2019年以降強制送還された中国人犯罪容疑者は数百人に上るという。同様の事案はマレーシアやインドネシアでも報告されおり、中国本土の犯罪組織が組織的に要員を周辺の東南アジア各国に送りこんでいるとみられている。
フィリピン捜査当局などは同国に滞在している中国人は全土で約20万人とみているが、その多くが不法滞在して違法行為に従事しているとみて、鋭意摘発を続けている。
しかし中国側の強力な犯罪組織とそのネットワークにより中国人犯罪者の「摘発・逮捕、強制送還」と「新たな中国人の入国」による当局との間で“イタチごっこ”状態が続いているのが実情という。
▲写真 6月2日ケソン市での摘発で逮捕され移送される外国人(中国人が含まれているとみられる)。ほとんどが強制退去となるとみられる。 出典: National Capital Region Police Office
■ マネーロンダリング、軍事スパイ容疑も
過去にはフィリピンのカジノ拠点「フィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレターズ(POGO’s)」で働く多数の中国人が不法に大量の外貨を持ち込んでマネーロンダリングしている疑いや、マニラ周辺のフィリピン軍施設や基地での情報収集というスパイ行為を行っているとの疑いも指摘されている。
このほかにも中国人が関連する殺人事件や誘拐事件なども発生しており、フィリピンにとっては不法入国して犯罪行為に及ぶ中国人問題は頭痛の種となっている。(参考:3月9日「比で中国人犯罪、スパイ疑惑」)
■ 対中「柔軟姿勢」に加え課題山積
こうした状況の中でドゥテルテ大統領は、中国本土で禁止されているオンライン・カジノなどはフィリピンでは合法であることやカジノやオンライン詐欺の対象者が中国本土の中国人相手であるためフィリピン人が直接被害を被っている訳ではないこと、領有権争いがある南シナ海の問題については中国からの多額の経済支援を念頭にして対中外交で「柔軟姿勢」を取っていることなどからオンライン犯罪事案への摘発強化にはあまり積極的ではないとされている。
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