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比、中国人の誘拐組織を摘発

Japan In-depth / 2020年6月19日 15時11分

不法滞在の中国人が同じ中国人を誘拐や拉致して本土にいる家族や親せきなどに身代金を要求し、指定した銀行口座に振り込ませるという手口はこれまでカンボジアのプノンペンで多発している。プノンペン現地警察による摘発、容疑者逮捕がカンボジアの地元メディアで度々報じられていたが、同様の中国人同士の誘拐事件がフィリピン国内でもこのところ急に増えているという。


 


■ 急増する中国人同士の誘拐事件


今回の中国人誘拐ビジネスは5月29日にマニラの南、カビテ州バコールにあるホテルでオンンライン・カジノに違法に従事していた中国人の不法入国者90人などをフィリピン警察、入国管理当局が一斉摘発して逮捕した事件に続く、中国人関連の事件としてフィリピンでは大きく報道され、銃撃戦の現場の映像などが新聞、テレビで流れた。(参考=6月9日「比、違法就労中国人一斉逮捕」)



▲写真 カジノ(イメージ)。 出典:wallpaperflare


 


■ 増加する誘拐ビジネスはいたちごっこ


フィリピン国家警察誘拐事件担当部署によると2019年に中国人同士の誘拐事件では58人が被害者となった。2019年8月に起きた女性中国人の誘拐事件では12月に容疑者として中国人6人が逮捕されている。


さらに2020年2月に起きた誘拐事件では男性4人、女性4人の中国人がマニラ市内のホテルに滞在していた32歳の中国人を犯人側の女性が夜明け前に外に誘いだして誘拐した。


この時はホテル警備員が不審に思い警察に通報したことが端緒となって全員が隣接するパニャラケ市で逮捕されている。


フィリピン警察によると誘拐ビジネスには中国人犯罪組織の誘拐専門グループがあり、オンライン・カジノなどで働く中国人や借金を背負った中国人などをそそのかして「身代金振り込み」を持ちかけるが、素直に従わない場合には拘束したり暴力を振るったり脅迫したりして送金を強要するケースが多いという。


フィリピン国内には約20万人の中国人が滞在しているがその大半が不法入国ないし不法滞在でギャンブル産業などに違法に就労しているとみられている。


大半の中国人はアパートやホテルを拠点にして中国本土の顧客を相手にしたオンライン・カジノや振り込め詐欺などに従事しているという。オンライン・カジノは中国本土では禁止されているため相当の稼ぎがある人気稼業とされ、警察の相次ぐ摘発にも根絶されていない。


地元メディアによると誘拐組織は「手当たり次第に中国人を誘拐している」とされ、フィリピン警察は取り締まりを強化している。


しかし警察が中国人容疑者を懸命に摘発、強制送還しても、中国本土にフィリピン派遣のためのシンジケートが存在しているためか、次から次へと中国人が観光目的に入国してはその後所在不明になり、違法就労しているケースが多いとされ、フィリピン当局もこうした「いたちごっこ」に手を焼いているのが実状という。


トップ写真 フィリピン・マニラのチャイナタウン 出典:pexels; John Renzo


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