豪印、反中国の安保協力強化
Japan In-depth / 2020年7月5日 11時36分
インドのナレンドラ・モディ首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相との間で結ばれたこの協定は海洋での両国の安全保障や防衛の協力を約しあっていた。軍事同盟にはいたらないが、明らかに中国の軍事脅威を年頭においての両国の提携だった。
▲写真 豪スコット・モリソン首相 出典:facebook: @Scott Mor
同時にインドが中国の軍事動向に警戒や反発を強め、防衛面で長年の非同盟政策を薄めて米国との軍事協力を始めるようになったことも中国の敵対を増す新展開として注目されている。米国としては中国の軍事膨張には正面から対決の姿勢をすでにみせているから、インドとの防衛協力は歓迎すべき動きだとみている。
▲写真 豪スコット・モリソン首相とのオンライン会談に臨むナレンドラ・モディ印首相 出典:facebook: @Scott Morrison
中国の南シナ海のスプラットレー諸島での軍事行動の活発化は同諸島の領有権を主張するフィリピンの対中姿勢をも硬化させた。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は当初、米国との軍事面での距離をおく政策をとり、準同盟に近い「訪問米軍地位協定」をこの8月には失効させることを2月に発表した。
ところがドゥテルテ大統領は最近の中国の軍事攻勢に懸念を表明して、この6月上旬にはその「訪問米軍地位協定」を現行のまま継続保持する新方針を発表した。明らかに対中警戒からの米軍取り込みの措置だった。
中国は日本に対しても沖縄県石垣市尖閣諸島の日本の領海や接続水域への武装艦艇による侵入を継続している。
中国はさらに台湾に対してもその水域、海域を海軍、空軍によって侵犯あるいは侵犯ぎりぎりの威嚇行動を激しくするようになった。
中国はこのように近隣諸国多数への軍事行動、準軍事行動をエスカレートさせてきたわけである。その動機はコロナウイルス後の国威発揚か、あるいはウイルスで弱体となった近隣諸国の消極姿勢につけこみ、懸案の領有権主張を強める好機とみたのか、観測は多様である。
いずれにしても中国が南シナ海、東シナ海、インド洋で日本をも含むその地域国家群との対立を鮮明してきたわけである。
**この記事は日本戦略研究フォーラムの論文サイトに載った古森義久氏の連載コラム「中国と多数の国が摩擦」の転載です。
トップ写真:2019年 豪印合同海軍演習の模様 出典:Twitter:@DeptDefense
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