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バイデン候補、弱みの歴史

Japan In-depth / 2020年8月25日 11時0分

バイデン氏の2回目の大統領立候補の2008年にもトラブルが起きた。対抗馬のバラク・オバマ氏を評して「言語明快、聡明で清潔で見かけのよい初めての主流のアフリカ系アメリカ人だ」述べたのだ。とくに問題なのは「清潔(clean)」という言葉だった。これまでのアフリカ系アメリカ人、つまり黒人は清潔ではない、という意味が露骨だからだった。この言葉もバイデン氏はすぐに撤回し、謝罪した。


バイデン氏は3回目の2020年の大統領選立候補でも、黒人の一般有権者に向かって「あなたが私に投票しないなら、あなたは黒人ではないぞ」と述べて反発を生んだ。トランプ氏がもし「私に投票しないならば、あなたは白人ではないぞ」などと発言したら、民主党支持の大手メディアは天地がひっくり返るほどの勢いで糾弾を続けるだろう。


バイデン氏はこの言葉についても謝罪した。しかしバイデン発言がいま問題視されるのは実はこの種の明らかな放言や失言ではなく、事実関係の重大なミスである。


アメリカでのコロナウイルスの死者が12万だったときに、1億2千万と断言したり、自分がいまいる場所の州や集会所を間違えたりという種類の発言である。この種の錯誤の連発からバイデン氏への認知症疑惑がすでに広まったわけだ。


さて認知症をも懸念させる事実関係の大きな間違いという点ではバイデン氏の「アフガニスタン戦争体験談」が有名である。


バイデン氏は2019年8月ごろからのニューハンプシャー州での予備選関連の集会などでの演説で繰り返して、以下のような「体験」を語った。


「私は副大統領としてアフガニスタンでの戦争にかかわる米軍将兵の激励に行き、コナー地域での激戦を目撃した。その戦闘ではアメリカ海軍大佐が20メートルほどの深さの谷間に取り残され、敵の猛攻撃を受けている部下をロープを伝わって助けるのをみた。その後すぐに私はその海軍大佐に副大統領として銀星勲章を授与することになった。だが大佐は助けた部下が結局、死んだので、勲章を辞退しようとした。なんとすばらしい話ではないか」


米軍の勇敢で誠実な将校の言動を告げる美談だった。


ところがすぐにこの話の具体的な部分がほとんど事実と異なることが判明したのだ。


バイデン氏がアフガニスタンを副大統領として訪れたことはなかった。だからその戦闘での救出を目撃したという話にも根拠はなかった。バイデン副大統領が似たような戦闘での功労者に銀星勲章を与えたという記録もなかった。確かに似た戦闘はあったが、そこで部下の救出にあたったという軍人は海軍大佐ではなく陸軍士官だった。その士官もバイデン氏から勲章を受けたことはなかった。


だがバイデン氏は今回の大統領選キャンペーンでその同じ話を何度も繰り返していたのである。同氏はもちろん自分の「記憶の非」を認めた。


これから11月にかけての大統領選の終盤戦ではバイデン候補を立てた民主党陣営はトランプ大統領のほぼすべてを否定する戦闘的なキャンペーンを展開する構えを固めたといえる。対抗するトランプ陣営がこれまたバイデン氏の欠点、弱点を拡大して反撃することも確実である。その過程ではバイデン氏のこれまでの言葉のトラブルが大きく取り上げらえることもまた確実だといえよう。


トップ写真:バイデン候補 出典:Flickr; Gage Skidmore


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