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「民族理解に正解はない」 バルカン室内管弦楽団音楽監督柳澤寿男氏

Japan In-depth / 2020年8月30日 11時0分

このコンサートは国連も関わるプロジェクトだった為、国連を中心に国際安全保障部隊やコソボ警察をはじめとした機関と様々な調整をしなければならなかった。


「紛争前後10数年交流がなかった時代を乗り越えた初の文化交流ということで、2007年5月17日は記録的な日になった」と柳澤氏は明かす。また、「紛争後の地帯だからという理由で(バルカン半島に)渡ったわけではないが、結果的にそういった社会と関わることになった」と述べた。



▲写真 ⒸJapan In-depth編集部


細川氏は、分断のきっかけとなる紛争から平和を目指していくことに関し、どのような考えで取り組んでいるのか、柳澤氏に聞いた。


これに対し柳澤氏は「最近、『日本のココが素晴らしい』というような番組が増えている気がする」と疑問を呈した。そう感じる理由として、初めてマケドニアに行った時犯した「大失敗」を紹介した。


マケドニアを初めて訪れたとき、柳澤氏は日本との文化の差が大きすぎて、日本で当たり前のことがマケドニアではできないという経験をたくさんした。その時柳澤氏は、「日本ならできるのに」という考えが強くありすぎたと振り返った。


「そんなことを言われたら向こうは気分が悪いし、ここは日本ではない、と言われてしまう。『日本が何でも一番』と思いすぎないことの大切さを学んだ」。


そこからさらに、コソボフィルハーモニー、セルビアのオーケストラ、と経験を積むことで、多民族と同じ目線で話せるようになってはじめて繋がっていったという。マケドニアでの失敗があってこそ、今の柳澤氏があるのだ。


細川氏はその話を踏まえて、「日本人は海外で人との接し方に悩む場面が多いと思うが、そんな時どうすればいいのか」と聞いた。


柳澤氏は、「悩まないほうがいい。思い切りぶつかり、失敗を肌で覚える。こうやったら正解、ということなどない」と述べた。


ウィーンやドイツやフランスでやりたい、と思う指揮者は多いだろう。バルカンのような多民族の楽団は、指揮者としてまとめるのは大変だ。しかし、地球上で考えれば、そういう楽団のほうが多いのではないか、と柳澤氏は言う。


「超一流のオーケストラは誰が指揮棒を振ってもすごい」と柳澤氏は言い、こう結んだ。


「一流は一流での難しさがある。しかし、そう(一流)でないところでコントロールできる指揮者は、幅が広がって面白いなと最近思う」。


(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年8月15日放送の要約です)


 


「細川珠生のモーニングトーク」


ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分


ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php


細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/


細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/


トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部


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