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日本学術会議元会長、安倍首相に罵詈雑言

Japan In-depth / 2020年10月11日 21時26分

なお広渡氏はその後の2019年12月の反自民党政権の街頭集会でも安倍首相に対して「ウソをつくな」「恥を知れ」という激しい糾弾の言葉を述べた。


この種の政治活動も言論活動ももちろん広渡氏の自由である。だがその一方、「ウソつき」とか「バカ」というのは市民社会の発言としては理性も礼儀をも失った表現として響く。とくに平和や生命の大切さを説くはずの陣営の言葉としては自己否定とも受け取れる。


特定の個人に対しての「バカ」とか「ウソつき」はヘイトスピーチ(憎悪表現)ともなりかねない。朝日新聞社刊の百科事典ふう「知恵蔵」によると、ヘイトスピーチとは「主に人種、国籍、思想、性別、障害、職業、外見など、個人や集団が抱える欠点と思われるものを誹謗・中傷、貶す、差別する言葉」を指すという。安倍晋三氏を「バカ」とけなすのは「思想」が理由だろう。


広渡氏の場合、この種の公開、公式の政治活動では必ず「日本学術会議元会長」という肩書を使っている。解釈によっては日本学術会議自体が安倍晋三氏や自民党政権に対して広渡氏の使う乱暴な言葉の糾弾を暗に支援しているように受け取る反応もありうるだろう。


だがいずれにしても日本学術会議も、その会員を任命する首相も、運営にあたる日本政府も、政治面ではこれほど過激な言動を示す人物をも長年の会員としてだけでなく、会長として認めてきたのである。だから同会議を首相の管轄下の国家機関とみなす政府側からすれば、同会議の会員の政治的傾向はまったく無視してきた、あるいは科学と政治はまったく切り離してきた、ということになろう。


いずれにしても広渡氏の軌跡は日本政府側、ことに首相の側がこれまでは日本会議の会員の政治的な信条や活動に関しては、すべて寛容、あるいは無関心できたことを示すといえるようだ。


ただし日本国民の立場からすれば、自国の科学の純粋な発展を目的として貴重な国費を投入する対象の公的機関がこんな過激な政治活動家たちによって運営されてきたという現実には違和感を禁じえないのではないか。


トップ写真:日本学術会議 出典:Hanonimas


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