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米大統領選とメディア その3 トランプは「国民の敵」なのか

Japan In-depth / 2020年10月20日 23時0分

反トランプ・メディアはトランプ大統領の統治全般でも成功例はほとんど報道しない。





トランプ政権下ではコロナウイルス大感染の前まではアメリカ経済は記録破りの好況だった。失業率は何十年ぶりの低下だった。経済成長率も勢いがよかった。ニューヨークの株式市場も市場最高の高値を記録していた。規制緩和と減税とを組み合わせた政策の明らかな成功だった。





だが反トランプの新聞やテレビはそれを決して大きくは報じない。ほとんど無視に近いのだ。そのかわりに大統領のちょっとした言葉のミスや政権内の主張の食いちがいを極端に拡大して、報道する。





そのネガティブ報道だけを読むと、トランプ大統領もトランプ政権も失敗、失態、錯誤を重ね、アメリカ国民一般からも忌避されているような印象を受けるわけだった。





コロナウイルスの報道でも同様だった。





ニューヨーク・タイムズなどは大統領の放言、失言、政策の小さなミスなどを拡大してネガティブな報道を続けてきた。トランプ政権の初期の対応が国民多数の賛同を得たことなど、無視なのである。





ちなみに日本でも主要な新聞やテレビはアメリカ側のこの反トランプ・メディアからの発信に依存しての報道が多い。





日本側のアメリカ通とされる人たちの間にも同様な傾向が目立つ。





その日本側のメディアや識者から発信される「トランプ報告」からは大統領が肝心のアメリカ国民の大多数からも嫌われ、拒まれているというイメージが生まれてくるといえよう。少なくともトランプ大統領がこの3月と5月には就任以来の最高支持率を記録したなどという現実は伝わってこないだろう。





なにしろ反トランプのメディアからは「アメリカ国民がいま多数、コロナウイルスで死ぬのはトランプの誤算のため」というような評論が堂々と発信されるのだ。





私も4月前後のトランプ大統領の記者会見は連日、細かく視聴した。その場での反トランプのメディアの記者たちによる大統領攻撃には呆れはてた。





質疑応答でも記者の発言は質問ではなく「あなたのウイルス対策はいま失敗しているが」というような自分の意見を大声で述べることから始まるのだ。





大統領が答えようとすると、途中でさえぎって「それはまちがっている!」と自説をぶつける。しかも何人もがタッグチームのように組んで、いやがらせとしか思えない粗雑な言辞を吐くのである。





その結果、ワシントン・ポストやCNNは「大統領はコロナ対策本部顧問のファウチ医師を解任する」などという誤報を発信した。会見の場で大統領と同医師の両方からすぐに否定される明白な誤報だった。





ただしトランプ大統領も「それはフェイクニュースだ」とか「そんな荒々しい声を出す必要があるのか」と反発する。だがトランプ叩きのみというおなじみの記者にもきちんと発言の機会を与えており、マナーという点では大統領が確実に上だった。





そのかわりに日本ではトランプ大統領が「政権内部の専門家に抗議された」「一般人は消毒液を飲めばよいと暴言した」「統治能力がない」というような「失敗」「無能」のイメージを拡大する報道がほとんどだった。





(その4につづく。その1、その2。全5回)





*この記事は一般財団法人「交詢社」発行の「交詢雑誌」令和二年九月特集号に「アメリカ大統領選とメディア」という題で掲載された古森義久氏の寄稿論文の転載です。





トップ写真:ペンス副大統領を連れてメディアの前に姿を見せるトランプ大統領(2020年8月12日 ホワイトハウス) 出典:The White House




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