前途多難なマイナカード普及【菅政権に問う】
Japan In-depth / 2020年10月24日 18時0分
2016年に実質スタートした同カードは、思ったほど行き渡らず、このままでは、02年に稼働を開始して15年末に事実上の店じまいをした住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の二の舞いかと危惧されていた。
そこへ「10万円騒動」から同カードづくりへの追い風が吹き始めたが、相次ぐ混乱劇から熱気も冷めていった。そこで、マイナポイント制度を追い風第2弾にしようと考えたわけだ。確かに今年1月20日時点のマイナンバーカード普及率は15.0%だったのに、10月1日時点では20.5%となったのだから、総体的に督励効果はあったと言えよう。
しかし、カード専門家は「手続きが煩わい割に5千円のポイントは魅力的ではない」と指摘する。また、キャッシュレス決済に慣れている若年層でさえも動きは鈍く、都市部と地方の動きを見ても、都区部が25.6%なのに対し、町村部では17.7%どまりと格差が生じている。
▲写真 キャッシュレス決済(イメージ) 出典:Pixaday
さらに、銀行口座とひも付けすると言われた途端に「我が家の資産をお国に知られてしまう」との思いが働き出した。このため、政府は今回「銀行口座ひも付け」は義務化しないと繰り返し言っている。とはいえ、国民の間にある「国民総背番号制」に対する忌避感は根強く、これが菅政権の大目標であるデジタル国家づくりの最大の障害となることは確実だ。
携帯料金下げなど、緒戦では赫々たる戦果を挙げる菅政権だが、その先にはどうやら容易ではない魔物が手ぐすねをひいているように見える。
(了)
トップ写真:デジタル改革関係閣僚会議にて発言する菅総理 出典:首相官邸
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