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中国の国連ハイジャック作戦

Japan In-depth / 2020年11月8日 11時0分

中国の国連ハイジャック作戦




古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・中国が多数の国連機関トップ占め、中国有利に影響力を強めている。





・米「独裁を守る多国間主義」と非難。中国影響力抑止する措置展開。





・国連が中国にハイジャックされるなら、日本も認識の転換迫られる。









中国が国際連合の多様な機関の主導権を握り、国連全体を自国に有利な方向へ動かそうとする活動がますます顕著となってきた。アメリカ政府は中国の苛酷な人権弾圧までが国連で許容されることにもなりかねないこの国連ハイジャック作戦の阻止に力を注いでいる。 





だが果たして中国のこの影響力拡大をどこまで防げるのか。そのせめぎあいは国連重視を過度なまでにうたってきた日本政府にとっても注意せざるをえない展開である。





中国は現在、国連専門機関合計15のうち国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際電気通信連合(ITU)、国際民間航空機関(ICAO)の4つに中国人の最高責任者を送り込んでいる。





なぜ国連で影響力を強くすることが中国にとって重要なのか。





2020年夏、香港での中国の弾圧を非難する決議案が国連人権理事会に提出された。イギリス、その他の民主主義諸国が主体の決議案だった。だがほぼ同時にキューバなど非民主主義の傾向の強い諸国による香港についての別の決議案が出された。その内容は香港に関して結局、中国政府を弁護する趣旨だった。





二つの決議案が同時期に個別に採決された。イギリス主導の中国非難の決議案は人権理事会で27ヵ国の賛成票を得た。キューバ主導の中国弁護の決議案は53ヵ国の賛成票を得た。中国政府による人権弾圧や国際公約違反が明白であっても、その中国の動きを非難するよりも弁護する国が二倍ほども存在するのである。この事実は中国の人権弾圧への国連全体による非難を消してしまうことになる。





▲写真 香港の民主派デモ 2020年1月 出典:flickr:Etan Liam



中国は新型コロナウイルス大感染でも国連機関である世界保健機関(WHO)の支持を得て、国際的な糾弾を薄めることができた。中国から経済援助をふんだんに得たエチオピアのテドロス・アドノム元外相が事務局長だったWHOはコロナ発生に際しては中国政府の意向を忠実に受けて、発生自体を秘密にする隠蔽工作に完全に加わったのだ。





▲写真 香港の民主派デモ 2020年1月 出典:flickr:Etan Liam



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