トランプ再選を熱望する台湾
Japan In-depth / 2020年11月13日 11時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
「澁谷司の東アジアリサーチ」
【まとめ】
・米大統領選で「祝意」表明を控え、静観する習近平政権の真意は?
・世論調査では、台湾の「主流民意」はトランプ支持と見て間違いない。
・ならば、反対に、習近平政権はバイデン候補の当選を渇望しているはず。
今年(2020年)11月の米大統領選挙は、依然、結果が未確定である(11月12日13時00分現在、『Real Clear Politics』ではバイデン前副大統領の「当確」が取り消された状態)。そして、予断を許さない状況が続いている。
さて、今の習近平政権は、トランプ大統領とバイデン候補、どちらの当選を望んでいるのだろうか。一部の評論家は、中国共産党は、前者の再選を期待しているという。だが、本当にこの主張は正しいのか。ひょっとして、同党のプロバガンダを喧伝しているに過ぎないのではないだろうか。
バイデン候補は、選挙人獲得数でいったんは過半数を超え、米マスメディアは彼に「当確」を出した。そのため、ロシアのプーチン大統領は、フライング気味にトランプ大統領再選に祝意を示した。本来ならば、習近平政権はバイデン候補に祝意を伝えても良いはずである。
ところが、北京は“音無しの構え”である。実に、奇妙ではないか。中国共産党とバイデン候補は関係が深い。実際、習近平主席とバイデン候補は2011年8月から2017年1月まで、少なくとも4回は会っているという。2人は周知の間柄である。
習政権の本音を推測するには、台湾がトランプ大統領とバイデン候補、どちらに当選して欲しいかを考えれば、おのずから答えが出るだろう。
今年(2020年)9月17日から20日にかけて、台湾の『遠見』雑誌が行った世論調査では、49.1%の人が(希望的観測を含め)トランプ大統領が勝つ、他方、23.7%が、バイデン候補が勝利する、と答えている。また、53.0%の人がトランプ再選の方が台湾にとって有利だと答えた。だが、16.4%がバイデン当選の方が台湾には良いと回答している。ちなみに、バイデン支持者は、「親中派」の国民党系ではないか。
更に、翌10月8日、英国の世論調査会社「YouGov」が、ヨーロッパ7ヶ国とアジア・太平洋8つの国と地域を対象に、「トランプ大統領を支持するか、それとも、バイデン候補を支持するか」という世論調査を行った。同月15日、「YouGov」は、その調査結果を公表している。他の国々と異なり、台湾においてはトランプ支持が42%で、バイデン支持(30%)を上回った。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
習近平による「脱米外交」が加速 中小国の擁護者を目指す中国 世界に広がる反米感情も後押し
まいどなニュース / 2024年5月10日 20時0分
-
岸田政権はまだまだ続く可能性が高い…政治的には詰んでいる岸田首相が「続投に自信満々」となっているワケ
プレジデントオンライン / 2024年5月8日 9時15分
-
バイデン氏かトランプ氏か…揺れる民意、経済や移民で論戦本格化 米大統領選まで半年
産経ニュース / 2024年5月3日 17時0分
-
【米大統領選】バイデン意外に健闘、共和党系の世論調査でもトランプを上回る
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月18日 19時20分
-
田中均が予測 「日本が備えるべき地政学リスク」 世界の構造変化は9.11同時多発テロから始まった
東洋経済オンライン / 2024年4月15日 7時20分
ランキング
-
1財政検証で判明、年金「100年安心」ではなかった 公約を実現するには今後も調整が必要だ
東洋経済オンライン / 2024年5月12日 10時0分
-
2首都高湾岸線トンネル内でタクシー横転事故 運転手と乗客死亡
日テレNEWS NNN / 2024年5月12日 7時41分
-
3来春の避難指示解除目指す 飯舘村、帰還困難区域の一部
共同通信 / 2024年5月12日 15時41分
-
420代妻に馬乗り「2人がもめている」家族の通報で駆け付けた警察官の目の前で…暴行容疑で逮捕の36歳の男「間違いありません」北海道旭川市
北海道放送 / 2024年5月12日 9時47分
-
5規正法改正「抜け道が並ぶ」=野党、与党案を批判
時事通信 / 2024年5月12日 14時53分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください