仏、ホームレスの4割が女性
Japan In-depth / 2020年12月7日 23時19分
受け入れ施設に行くバスに乗るために並んだところ、人数制限でバスに乗れず帰ろうとする時にもレイプ被害にあうのだ。そんなことが続くことで、女性のホームレスは受け入れ施設に行くことを恐れるようになっていく。そして、施設に行くよりも路上で身を隠すことを選択するのだ。しかし、身を隠せば隠すだけ、周囲からは存在することが見えなくなる。そして、孤立し、さらに被害にあいやすくなるという悪循環が続いていた。
元ホームレスのアンヌの体験談は衝撃的だ。アンヌは18歳のとき近親相姦を強要された家庭から脱出した後、17年間路上で過ごした。家から出てパリに行ったが、泊まる予定だった場所に受け入れてもらえなかったため野外で夜を明かすことになった。
しかしその初日にレイプ被害にあったのだ。そのショックは体だけではなく心もむしばんだ。被害にあってからの3年間はショックで口がきけない状態だったという。考える力もないまま生きていた。そしてさらに繰り返されるレイプに苦しめられる。男女混合のホームレス受け入れ施設に行ってもレイプ被害にあった。
それ故に、毎晩、橋の下、壁の後ろに身を隠して生きてきた。そんな中ホームレスの男性と恋に落ちたが、二人で居たとしても安心なわけではない。二人でいた時にも襲われたことがある。その後、妊娠、出産。
ホームレス最後の2年間は子供を連れての日々となるが、その時期が一番夜を長く感じた。その上、ソーシャルワーカーに路上で子供を育てることは許されないと言われ、子供を取られるかもしれない恐怖に怯えた。路上で子供を育てれば、書類もない。学校にもいかせられない。ホームレスには母親になる権利もない、そんな苦悩の日々を送ったのだ。
▲写真 イメージ 出典:Pixabay
■ 女性専用施設でつかの間の休息
このように、女性がホームレスとして路上で生きることは男性以上に大きなリスクがあるにもかかわらず、身体のケアをしたり、女性をレイプ被害から守る女性専用施設がほとんどなかったことに問題があった。
そこで、2017年にはマクロン政権がホームレスのために支援施設を増やすことを公約にかかげたことも後押しとなり、同じ年に、ホームレス支援をしているSamusocial de Parisが中心になり、#LaRueAvecEllesのハッシュタグで各方面に支援を呼びかけたのである。その結果、2018年末には、少なくともパリで、女性専用施設の増設が実現したのだ。
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