PCR検査体制強化が最大コロナ対策【2021年を占う!】医療
Japan In-depth / 2020年12月28日 7時0分
ところが、日本の対応は正反対だった。東京だけでも10以上の医療機関が少数の患者を分散して受け入れている。これは医療リソースの無駄遣いになる。だからアメリカの40分の1しか感染者がいないのに、東京の医療システムが疲弊してしまう。
大切な事は、どの病院が集中的に患者を受け入れるか、関係者の間でコンセンサスを形成することだ。中国は政府が主導した。アメリカは医療現場と州政府が協力した。いろんなやり方がある。
日本の問題は、そもそもの方向性が間違っていることだ。戦略目標が間違っていれば、現場がいくら頑張っても挽回できない。例えば、検査体制の強化だ。コロナの特徴は無症状感染者が多く、彼らが周囲にうつすことだ。12月2日にスリランカの研究者が、PCR検査体制の強化がもっとも有効なコロナ対策という論文を『ヘルス・アフェアー』誌で発表し、話題となった。
世界は検査を徹底し、陰性の人が社会活動し、陽性の人は自宅などで隔離する方向でコロナと戦おうとしている。検査を抑制し、無症状の感染者を野放しにしておけば、いくらマスクの着用やソーシャルディスタンスを叫んでも、その効果は限定的だ。
検査を徹底する事は、情報開示という面でもメリットがある。どの程度国内で感染が広がっているか、正確な情報を知ることで、国民は安心するのだ。この辺、バブル経済崩壊時の対応と似ている。あの時は、金融機関の不良債権を明らかにし、一括して処理するまで、景気が浮揚しなかった。国民の不安が解消しなかったのだ。
しかるに、日本の対応は正反対だった。世界で最もPCR検査を抑制してきた(図1)。この結果、東アジアで唯一国内全域にコロナ感染の蔓延を許した。感染が不安な国民は、政府によるロックダウンなどの強制的措置がなくとも自宅で自発的に自己隔離し、その結果、経済は大きなダメージを被った。
▲図1
厚生労働省や周囲の専門家たちは、詭弁を弄し続けている。PCR検査の数を増やせば、偽陽性がたくさん出て、医療システムを崩壊させるなどと主張している専門家は、私は日本以外には知らない。もし彼らの主張が正しければ、世界各地の国で医療が崩壊しているはずだ。もちろん、そんな事は無い。
世界から学ばず、独自の道を行けば、そこは破綻しかない。これはいつか来た道と全く同じだ。2021年の日本がそうならないことを願う。
トップ写真:フロリダ国家警備隊による新型コロナウイルス検査の様子 出典:Florida National Guard(US Army photo by Sgt. Leia Tascarini)
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