中・豪州関係さらに悪化「2021年を占う!】中国
Japan In-depth / 2021年1月6日 15時43分
実は、モリソン首相の前任、マルコム・ターンブル首相(2015年9月〜18年8月)時から中豪関係悪化の兆しがあった。
ターンブル首相は保守系のオーストラリア自由党でありながら、初め「親中派」だと思われていた。2015年10月、首相就任直後、豪州北部ダーウィン港(米海兵隊が駐留)の管理権が中国企業「嵐橋集団」へ渡った。当時のオバマ政権は、オーストラリアの中国へのダーウィン港99年間貸与に対し、不快感をあらわにした。
また、同年12月、中国とオーストラリア間で自由貿易協定(FTA)が発効している。それと同時に、第1段階の関税引き下げが行われた。翌2016年元旦、第2段階の関税引き下げが実施された。中豪の“蜜月期”である。
ところが、2017年、ターンブル首相は中国が豪州のメディアや大学等で、政治に干渉していると議会で懸念を示した。同首相は、中国共産党の“危険性”に気付き始めたのである。
実際、オーストラリアの野党議員が中国の利害関係者から献金を受け、南シナ海問題で中国寄りの発言をしていた。これがスキャンダルとなっている。豪州世論は「中国による内政干渉」だと反発した。
そこで、同年12月、ターンブル政権は、外国からの政治献金を禁止した。また、翌2018年6月、豪議会は「スパイ防止強化法」を可決している。
ところで、今年12月、中国国内で突如、異変が生じた。まず、浙江省、江西省、湖南省で大規模停電が起きた。その後、北京市、上海市、広東省の各省市一部で、停電が発生している。中国政府は、この停電に関し、工業生産の回復と寒波の影響で電力需要が予想を超えたためと説明した。
この寒さの中、電力が止まれば、市民の生活に支障が出る(実際、水道まで止まる騒ぎとなった)。工場生産にも影響を及ぼすに違いない。このような状況下で、今年、中国当局が予測している中国の年間GDPがプラスになるとは考えづらいだろう。
習近平政権は、対豪経済制裁で、オーストラリアの良質な石炭を輸入しない方向へ舵を切った。そのため、国内の電力が足らず、停電という事態が起きたと思われる。一説には、近い将来、勃発するかもしれない「米中戦争」を準備する措置とも言われるが、その点は不明である。
最後に、軍事的観点から中豪関係を見てみよう。
中国は、もし可能ならば、潜水艦で米本土に接近し、米国を脅かしたいと考えているのではないだろうか。
中国海軍が太平洋へ進出するには、南シナ海から3ルート―
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