報道されぬトランプ弾劾反対論
Japan In-depth / 2021年1月17日 23時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・民主党と主要メディア一体の「トランプ断罪」反対の声は報じられず。
・「トランプ弾劾」の目的は任期最後の2週間で「悪魔化」すること。
・大統領の言論の自由の権利行使を懲罰する民主党の動きも危険。
アメリカの国政の場ではトランプ大統領に対する弾劾の動きが最大の課題となった。連邦議会の下院は反トランプでまとまる民主党がすでに弾劾訴追案を可決した。ほとんど審議も討論もないままの一気の表決だった。
この民主党のトランプ大統領糾弾は主要メディアのほとんどに固く支援されている。というよりも民主党と主要メディアは一体の反トランプ複合体のようである。この場合の主要メディアとはおなじみ、一貫したトランプ糾弾キャンペーンで知られるニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビなどを指す。
この騒ぎの直接の原因は1月6日の一部トランプ支持者たちの議会への乱入だった。この暴力行為はすべてトランプ大統領が扇動したのだ、というのが民主党・メディア複合体の主張である。とにかく悪いのはトランプ大統領であり、同大統領はその責任をとって弾劾され、解任されるべきだ、というのだ。
「トランプが支持者に議事堂を攻撃することを求め、国家転覆につながる内乱を扇動した」「トランプの指示で動いた暴徒たちはテロリズムを断行した」――こんな非難である。この非難は日本の主要メディアにもそのまま反映されている。そして日本側の一般には、いまのアメリカはトランプ大統領の「悪」や「非」を断じる動きで国全体で結束したような構図が示されているのだ。
ところが現実にはアメリカでは国政レベルでも国民レベルでも、このトランプ断罪の動きに反対する声も広範に存在するのだ。まずトランプ大統領自身が支持者たちには議会に抗議をするにしても、あくまで「平和的に」と強調していた事実をあげて、民主党側の弾劾は根拠のない「魔女狩り」だと宣言する。連邦議会でも上院下院ともに共和党議員の大多数が民主党側の大統領弾劾には反対し、その弾劾には根拠がないと反論する。
▲写真 トランプ大統領弾劾訴追決議案を可決した米下院(写真は2021年1月3日の開会式の様子) 出典: United States House of Representatives
だが主要メディアはアメリカ、日本ともに、その共和党側の主張をほとんど取り上げない。無視しているといえよう。この態度は公正ではない。一つの大きなテーマに対して二つの対立する意見があれば、メディアの任務としてはまず両方の主張を報じるのが基本だろう。客観的、中立的な両論併記である。そのうえで、メディア自体の見解として、どちらの主張に理があるかを伝えればよい。ところが現状ではトランプ陣営側の主張はまず報じられないのだ。その種の主張はまちがいなく、しかもかなり広範に存在するのである。
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