ミャンマー軍、頼みの綱は中国
Japan In-depth / 2021年2月20日 11時0分
さらに軍が海外からの情報流入、海外への国内状況に関する情報や映像の流出を阻止するためにインターネット接続や携帯電話網の遮断や妨害も頻繁に行われており、日増しに通信状況は悪化しているという。
そうした中で軍は海外からのアクセスを阻止する強力な「ファイアウォール」の導入を進めているとの情報もある。それも中国の協力というのだ。
情報操作や情報統制では「先進国」ともいうべき中国から強力な「ファイアウォール」という新たな「武器」でネット環境の外堀を埋めようとしている軍。ここでも中国の影がちらついている。
■「一帯一路」に重要なミャンマー
中国はクーデター前には民主政権のスー・チー氏とも軍とも良好な関係を維持していた。これはミャンマーが中国の進める「一帯一路」構想において極めて重要な地政的位置を占めていること無関係ではない。
ミャンマー国内南西部の港から雲南省昆明に至るパイプラインを中国はすでに確保している。これにより中東・インド洋から南シナ海に至るエネルギー・ルートがマラッカ海峡を通過することなく独自に確立できることになるのだ。
1月11、12日に王毅外相がミャンマーを訪問している。この時はコロナ対策として中国製ワクチン30万回分を提供することなどが訪問目的とされたが、2月1日にクーデターに踏み切った軍のトップ、ミン・アウン・フライン総司令官とも王毅外相は会談している。
▲写真 アウンサンスーチー国家最高顧問と会談する中国王毅外相 2017年11月20日 出典:TPG/Getty Images
果たしてその会談で何が話されたのかは不明だが、今となっては軍のトップとの会談だけになんらかの「キナ臭い話し」と「お墨付き」のようなやり取りがあったのではないかとの憶測もでている。
ミャンマー軍制にとっては国際社会で孤立無援となっても中国が後ろ盾となってくれるのであれば問題はないと考えているのは間違いない。それが表立っての支援でなく、密かな支持であっても心強いことだろう。
▲写真 デモ制圧にかかるミャンマー国軍兵士達 出典:Hkun Lat/Getty Images
ただ、収まる気配を見せない国民の反軍制デモや抗議活動に加えて公務員や銀行員などによる「不服従運動(CDM)」も拡大して日常の行政活動、経済業務に支障が出始めている。
それに従い軍の苛立ちが高まっていることから、軍が武力による大規模な弾圧に乗り出し流血の事態となった場合に果たして中国がどう出るかが注目されている。
「あの天安門事件の中国」であるとして、そうした事態すら中国が黙認する可能性もあり、今後のミャンマー軍のデモ・集会への鎮圧方針も中国の顔色を伺いながらになるとみられている。
トップ写真:スーレースクエア前でミャンマー国軍に抗議する民衆 出典:Hkun Lat/Getty Images
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
ミャンマー政変に負けず、起業の道つくる 大阪出身の起業家高田健太さん、現地で挑戦
共同通信 / 2024年6月30日 7時4分
-
インド外相、ミャンマー内戦巡り軍事政権に懸念表明
ロイター / 2024年6月27日 10時55分
-
「国境通信」野良犬を拾って育てる避難民 川のむこうはミャンマー~軍と戦い続ける人々の記録#2
RKB毎日放送 / 2024年6月25日 17時36分
-
「国境通信」川を挟んだ目の前はミャンマー~軍の横暴を”許さない”戦い続ける人々の記録#1
RKB毎日放送 / 2024年6月24日 10時22分
-
ミャンマー、市民の抵抗のうねり 【舟越美夏×リアルワールド】
OVO [オーヴォ] / 2024年6月15日 10時0分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「紅麹」サプリ問題、調査中の死亡事例81人に…先月末から5人増
読売新聞 / 2024年7月4日 20時59分
-
4介護従事者が利用者の『財産搾取』 80代の姉妹は生命保険を解約、自宅を売却...金銭的支配の実態をスクープ「(養子縁組を)させられたんや」
MBSニュース / 2024年7月3日 11時28分
-
5【園児バス置き去り】元園長らに判決言い渡し…裁判長が涙にじませ付言「子どもの命守る大切さ忘れていた」(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年7月4日 17時18分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください