北朝鮮、韓流ドラマ見たら懲役
Japan In-depth / 2021年2月23日 11時0分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・金正恩政権「反動思想・文化排撃法」を採択。
・他国の文化を流入、流布、視聴した者に厳罰。死刑の恐れも。
・この法律は訪朝するすべての人に適用される。
金正恩政権登場以降、統治資金調達でチャンマダン(市場)経済が拡大した北朝鮮では、生活物資だけでなく様々な外部情報が流入した。同時に重要な内部情報も外部に流出した。
特に韓流を始めとした自由世界の文化が浸透し、北朝鮮の文化芸術を停滞させる一方で、若い世代の意識構造に自由の風を吹き込んだ。そしてそれは、党組織の上層部にまで浸透することで、経済危機とともに金正恩体制を揺さぶるもう一つの危機要因となった。
そうしたことから、2月8日から4日間開かれた朝鮮労働党中央委員会8期2回総会で金正恩総書記は、第一議案で、経済危機克服のための「5カ年計画」初年度課題目標を、もっと高く設定せよとせまり、第二の議案では、もう一つの危機要因となっている「反社会主義、非社会主義」との闘いをより強く繰り広げよと強調し決定書を採択した。
この「反社会主義、非社会主義行為」の主要な内容は、韓流を始めとした自由主義文化への接近と流布行為である。
■ 「反動思想・文化排撃法」の驚くべき中身
今回の「反社会主義、非社会主義との闘い」に対する決定に先立って、北朝鮮では昨年の12月4日に最高人民会議常務委員会総会で「反動思想・文化排撃法」を採択し、今年の1月17日の最高人民会議でそれを制定したが、今回の党中央委員会総会で、この法律を党の決定にまで引き上げた。
韓国デイリーNKが北朝鮮内部から入手した説明資料によると、この「反動思想・文化排撃法」には、
●南朝鮮(韓国)文化コンテンツの視聴や流布
●わいせつ物制作と配布
●登録されていないTV、ラジオ(ラジオ)、コンピューターなどの電子機器の使用
●閲覧が禁止された映画、録画編集物、書籍見たり保管した場合などの刑事処罰について具体的に明示されている。
その特徴は一言で言って、韓国の映画、ドラマ、歌などの視聴や流布に焦点が当てられていることにある。
この法律では、韓国ドラマを一度見ただけで、事実上人生が終わる内容となっているが、北朝鮮の歴史においても、これまでに見られなかった前代未聞の過酷な法律だといえる。
▲写真 2019年6月28日トランプ元米大統領韓国訪問の際に米国大使館周辺に掲げられたバナー 出典:Chung Sung-Jun/Getty Images
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