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保守主義の巨星リムボウ氏逝く

Japan In-depth / 2021年2月27日 11時0分

以来、2020年までの32年間、この番組は最初は深夜だった時間帯を東部時間では正午から午後3時と、ラジオのゴールデンアワーへと広げていった。一回の時間も3時間にまで伸びた。聴取者が増え続けたからだ。





アメリカのメディアではラジオの地位は意外と高い。自動車の運転をしながら耳を傾けるという人がきわめて多いのだ。だからラジオの番組も多様多彩である。 





そんななかでこのリムボウ氏の番組はなんと30年もラジオでは全米第一位、週間の聴取者数が平均1500万を超えるという盛況だった。その第一位の人気はリムボウ氏が病気で倒れる昨年まで一貫して変わらなかったのだ。





リムボウ氏はリベラル派を批判するには毒舌だった。だがいつも独特のユーモアがあった。ニューヨーク・タイムズやCBSテレビというような主要メディアに対してはその偏向を指摘して、糾弾し、あざけり、茶化してきた。「リベラルでエリートの大メディアの傲慢を正す」というわけだ。





だから彼の敵は共産主義者、社会主義者、動物愛護過激主義者、好戦的菜食主義者などだった。「フェミナチ」という言葉も彼の造語であり、敵だった。ナチスのようなフェミニストという意味だった。いまの時代ならただちにポリティカル・コレクトネスの断罪を受けかねない言辞だった。





だがリムボウ氏はその種の攻撃を独特のユーモアとヒューマニズムでかわしてきた。基本的な立場は保守本流、資本主義や自由市場経済の原理、個人の自助努力の美徳を推進した。政府の規制の過剰やアメリカの伝統の否定には猛反対した。





リムボウ氏はやがて共和党全体、保守主義陣営全体でも強大な影響力を発揮するようになった。保守主義を信奉する大統領をはじめ、上下両院の議員たちまでがリムボウ氏の意見を尊重するようになったのだ。





トランプ大統領は2020年2月の議会合同会議での一般教書演説ではすでに病床にあったリムボウ氏を招き、その場で「大統領自由勲章」という最高の栄誉を与えたほどだった。









▲写真 大統領自由勲章を与えられ、メラニア・トランプ氏にメダルを授けられるリムボウ氏 出典:Mario Tama/Getty Images





リムボウ氏は最近は肺癌の末期と診断され、フロリダ州の自宅で静養していた。





日本ではアメリカ通とされる識者の多くはリベラル派への同調をみせているようだから、保守派の代表のリムボウ氏の知名度も評価もそれほど高くはないようだ。





だがリベラルと保守と、いずれの思想を好むにしても、リムボウ氏が近年のアメリカの保守主義の広まりに果たしてきた独特の役割は知っておくべきだろう。





 





***この記事は日本戦略研究フォーラムの古森義久氏の連載コラム「内外抗論」からの転載です。





トップ写真:ラッシュ・リムボウ氏 ミシガン州ノバイ2007年5月3日:「ラッシュリンボーとの夕べ」にて。 出典:Bill Pugliano/Getty Images




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