首相ぶら下がり、評判悪いわけ
Japan In-depth / 2021年2月28日 0時10分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・26日夕方の菅首相「ぶらさがり」会見、評判がよろしくない。
・広報官辞任させず、正式会見行わず、記者にキレる等、ミス重なる。
・官邸の広報戦略に疑問符がつく。
26日夕方の菅首相「ぶらさがり」会見がすこぶる評判がよろしくない。何故か。危機管理の観点から見てみよう。
まず第1のミスは、総務省官僚接待疑惑の渦中にいた山田真貴子広報官を辞任させないことだ。東北新社の接待攻勢を受けていたことが明らかになった時点で、内閣のスポークスパーソンとしての役割を果たせないのは明らかだ。それを行わなかったことが第1のミス。
▲写真 山田真貴子内閣広報官 出典:内閣官房
第2のミスは、なぜ正式な記者会見をやらなかったかだ。「ぶらさがり」と括弧をつけたのは、これが業界用語だからだ。一般の人にはなじみがないだろう。通常の正式な記者会見ではなく、記者が取材対象者を囲んで質問をすることをいう。よく国会内などで様々な委員会などが終わった後、議員が廊下で記者に囲まれて話している、あれである。会見をやるまでではないが、記者に話すことがあるときに行うものだ。
今回は6府県における緊急事態宣言解除をもって、国民に語りかける機会だった。内閣としては重要なタイミングだろう。だからこそ、正式に官邸の記者会見場でやるべきだった。それを何故かやらずに「ぶら下がり」で行ったことから「山田広報官隠し」と憶測を呼ぶことになったのだ。メディアがそれを質問することはわかりきっている。会見場でやろうが、「ぶらさがり」だろうが、どうせ質問はでることはわかりきっているのだから、前者が正解なのは明らかだ。
第3のミスは、記者の質問にキレたことだ。イライラしているのは画面を通して誰でも分かった。途中まで比較的冷静に対応しているなと思ったらだんだんと苛立ちがつのってきたのだろう、記者に嫌みを言って去って行った。
メディアの思うつぼである。首相が最後いい放った「さきほどから同じような質問ばっかりじゃないでしょうか」という言葉に怒りが凝縮されている。
記者が同じ質問をするのはもちろんこれまでの答えに納得していない、というのもあるが、そもそも記者の常套手段でもある。それに乗っかるのは愚の骨頂だ。まんまとつられて、怒りを表に出すのは広報戦略上最悪である。
首相が言いたかったのは、冒頭の「国民の大変なご協力によって、その効果は歴然と現れており感染者数が減少している」という部分だろう。
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