熊谷千葉県知事誕生、手腕やいかに
Japan In-depth / 2021年3月23日 10時18分
選挙は生ものだ。短期決戦ではあるが、やはり知名度がものをいう。コツコツSNSで発信してきたことで全国区における知名度を築いてきた熊谷氏と、紆余曲折を経て突然担ぎ出された関候補では、最初から勝負はついていたのかもしれない。
さて、この千葉県知事選の結果をどう見るかだ。公職選挙法違反で有罪が確定した河井案里元参院議員の当選無効に伴う参院広島選挙区の再選挙(4月8日告示、25日投開票)などが注目されているが、この千葉県知事選は菅政権にとって打撃であることは間違いない。
今回熊谷候補は、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、社民党、市民ネットの県組織から支援を受けただけではなく、自民党の石井準一参議院議員や、公明党の富田茂之衆議院議員の支持も得た。自民党以外全方位の支援を得ている。一方で、無所属の水野ゆうき県議(我孫子市選出)らの応援も前面に出し、野党色を薄める事に成功した。なかなかの戦略家ではある。
加えて、菅政権のコロナ対策の迷走ぶりと相次ぐ閣僚、官僚の不祥事も追い風となった。自民党の白須賀貴樹議員(千葉13区)の非常事態宣言下の高級クラブ通いなどが週刊誌で報じられるに至って、有権者が与党に嫌気をつのらせた結果の圧勝と見ていいだろう。自民党支持層からも大量の票が熊谷候補に流れたとみられる。
元々、千葉県議会の自民党は2つの派閥に割れていた。関候補を担ぎ出した自民党県連主流派の河上茂幹事長は、21日に幹事長職を辞任する意向を示したと報じられた。
今後、関候補を推した県議会議員は、熊谷次期県知事とどう相対峙するか、覚悟を問われることになる。地方政治は二元代表制であり、東京都を始めどこの地方自治体でも見られるように、首長vs議会の構図が千葉県でも生まれるかも知れない。今後、新県知事と、関候補を支援した自民党県議らとの対立が勃発し、県政が停滞する可能性はゼロではない。
しかし、そんな対立は県民にとっては迷惑以外のなにものでもない。行政も議会も原点に立ち返り、健全に議論を戦わせ、県民の為の政治を行う。それが有権者の望みだ。
そして、選んだ新県知事が、どう千葉県を活性化させるのか。選んだ一人一人に責任あることを忘れてはならない。
トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部
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