露、ミャンマー国軍反乱いつまで支持
Japan In-depth / 2021年4月17日 0時25分
これに対し、ミャンマーのチョーモートゥン国連大使は、先日の国連総会で「国軍やその関係企業と取引のある各国の企業は、直ちに取引を中止して欲しい」と呼びかけ「ミャンマー市民の声を国際社会に伝えられる機会を得てうれしい」と発言すると演説後に各国の拍手が続いたという。国軍側は怒ってチョーモートゥン国連大使の解任を発表。次席大使を後任に据えようとしたが、その次席大使も辞任した。こうした国軍に対する不服従運動は他の在外の外交官にも広がっている。そればかりでなく、ミャンマー国内の警察官など公務員にも国軍への不服従運動が広がり始めたという。
またアメリカをはじめ英国、カナダ、欧州連合(EU)が国軍幹部や国軍関連企業に経済制裁を発動し始めた。日本は国軍、NLDの両方に密接な関係をもっているが、国軍に強い非難を表明しつつ、国軍とのパイプも生かして独自の対話路線を続けると述べている。しかしそのようなどっちつかずの方針は次第に評判を落とすだろう。また安保理で拒否権を持つ中国は、内政不介入の方針で距離を保っているが、ミャンマー軍に武器を売却しているロシアはミャンマー国軍寄りの姿勢を見せてまだ支持を続けている。
ただあまりにもひどいミャンマー国軍の弾圧に国際世論の批判は厳しさを増しており、ロシアがミャンマー制裁への拒否権をいつまで続けられるかが注目の的になってきた。
ロシアが制裁拒否権を発動しなければ、ミャンマー国軍は一挙に国際的孤立に追い込まれることになる。ミャンマー国軍にとってはいまやロシアの制裁拒否発動が唯一の頼りだが、ロシアはミャンマー国軍の非常識な市民弾圧にいつまで支持を続けるのか、ロシアにとっても苦しい局面を迎えつつあるといえる。
しかも治安部隊のモラル、規律低下もひどいようで、SNSには治安部隊が飲食店を襲ったり、住民の財産を奪う事件まで起きている様子が投稿されているという。そうした事件は映像で直ちに世界へ流されたりするから、ロシアがいつまでミャンマー国軍を支援し続けるか、国際社会からの批判はいずれロシアに向かう可能性もある。
今回のクーデターはミンアウンフライン最高司令官が司令したものだが、その動機はまもなく司令官が定年を迎え、その後に大統領職に就きたいためといわれていた。個人的動機からクーデターを起こし700人以上の市民を殺害する挙に出るなど正気の沙汰とは思えない。国際社会が一斉に批判しているのも、今回のクーデターに正当な理由がないことを知っているからだろう。
▲写真 ミンアウンフライン将軍の肖像画を燃やしてクーデターに抗議する、タイのミャンマー移民(タイ・バンコク 2021年2月3日) 出典:Lauren DeCicca/Getty Images
ロシアも武器売却の取引があるからといって、いつまでも支持をし続けているとミャンマー国軍と同様に、早晩国際的孤立に追い込まれることになるのではないか。中国もいつ国軍支持をやめるか、迷っているのではないか。日本はミャンマーへの最大の援助国となっているが、クーデター政権への支援はやめるべきだろう。日本と中国が手を引けば、ミャンマー国軍の行末も風前の灯火となるだろう。
トップ写真:ミャンマーの軍事クーデターに抗議するために米国大使館の外に集まった抗議者たち(ヤンゴン 2021年2月16日) 出典:Hkun Lat/Getty Images
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