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日米首脳会談の光と影(上)

Japan In-depth / 2021年4月22日 7時0分

日本だけでなく東アジア地域の安全保障のための日本独自の防衛力を強化することの「決意」が日本側でいつ、どのようになされたのか、あるいはなされる計画がどこにあるのか。知っている人がいたらぜひ、教えてほしい。





防衛や抑止とは一般の国家では、みな軍事とみなされる活動である。そもそも国家対国家の同盟とは本質は軍事での相互支援の誓いなのだ。





だが戦後の日本では軍事という言葉や概念が忌避されてきた。「日米同盟は軍事同盟ではない」と失言した失脚した総理大臣もいたほどである。





その日本の軍事忌避の特殊性が新しい時代の日米同盟の軍事能力強化の要請と整合するのか。なにしろ日米両国のいまの懸念の対象は対外的な膨張や威迫に軍事力を平然と最大手段にする中国や北朝鮮なのである。軍事を究極かつ最大の実効手段として迫ってくる相手に軍事という概念がこの世界に存在しないかのようにふるまうことの危険は恐ろしいほどといえる。









▲写真 日米首脳会談での菅首相、バイデン大統領(2021年4月16日 ホワイトハウス) 出典:首相官邸Facebook





バイデン政権にしても日本に対して防衛や抑止や安全保障の能力の強化を求めることは当然、日本の軍事能力の強化への期待である。ただし長年の日本の特殊事情を知るから、軍事という言葉は日本に対して公式には使わないことになる。





この軍事をめぐる日米両国間のギャップも長年、アメリカ側では意識され、提起されてきた。だが日米同盟をとにかく現状のまま堅持するという必要性のために、表明に出ることは少なかった。ドナルド・トランプ前大統領が「日米同盟の不公正さ」をわかりやすい言葉で批判したのは例外とはいえ、アメリカ側の不満の真実がつい露出したのだといえる。





だがアメリカ側でのこの面での日本への不満はますます広がってきた。だからこそ今回の首脳会談についても、菅首相が米側の期待に押されるままに、防衛力強化の実行を簡単に約束し、それが現実にはできないと判明したときの災禍が心配されるのである。





菅首相にはもちろんの日本の防衛や抑止を現実の軍事課題とみて、正面から取り組むという気配もない。





(つづく)





 ***この記事は日本戦略研究フォーラムの古森義久氏の連載コラム「内外抗論」からの転載です。上下2回に分けて掲載します。





トップ写真:日米共同声明記者会見へ向かう菅首相、バイデン大統領(2021年4月16日 ホワイトハウス) 出典:Doug Mills-Pool/Getty Images




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