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緊急事態宣言要請前に医療体制整備手を尽くしたか? 東京都長期ビジョンを読み解く!その97

Japan In-depth / 2021年4月26日 16時36分

緊急事態宣言要請前に医療体制整備手を尽くしたか? 東京都長期ビジョンを読み解く!その97




西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)





【まとめ】





・都知事の緊急事態宣言要請は、首をかしげるものである





・東京都の医療体制整備には、改善の余地がある





・要請をする以前に、医療体制整備に手を尽くしたのだろうか





 









▲図 【出典】東京都HP「最新のモニタリング項目の分析・総括コメントについて」





緊急事態宣言、発令。小池都知事は、夜間8時以降の消灯などを言及した。





私はそもそも都知事が緊急事態宣言を要請したのはなぜ?と思うのだ。





現在、東京都の医療提供体制は、入院数1,731人 (確保病床数5,048床)、 うち重症者数52人 (うち重症病床数332床)(2021年4月23日時点時点)であるのだから。





小池都知事は、4月21日緊急事態宣言を国に要請をした理由は





・現状が続くと、2週間後に新規陽性者数が2000人、入院患者数もさらに増えていくという推計

・感染力が強い変異株に対して、今ここで食い止めなければならない





ということらしい(都知事会見より)。





2週間後に新規陽性者数は「2000人」、入院患者数はこれまでにない「6000人」を超えるという予測があり、それへの対応だそうだ。リスクマネジメントということだろう。





これに対して私は首をかしげてしまった。





■東京都の医療体制整備はどこまでやったの?





これまで東京都は都立病院や公社病院での病床確保など、医療体制整備を進めてきた。コロナ患者用に転用可能な病床も含めて6044床を確保していると聞く。それは素晴らしいし、関係者の皆さんを称賛したい。





そうなると2週間後の予測が入院患者が6000人を超えるとしても、今の状況でなんとか大丈夫ではないかと思うのだ。





ここでも何度も書いたが、私が以前から提唱しているように、問題は以下の図のようなことなのだ。









▲図 【出典】筆者作成





医療法では医療機関に対して病床の転換やICUの設置、感染症患者の受け入れなどをお願いすることしかできない。となると東京都ができることは





・民間病院の受入拡大、東京都医師会への協力要請

・国立病院をコロナ病院にして病床数を増やす

・地域を超えての患者移送のための規制緩和を政府にお願いする





という対応が必要である。





こうした対応が「これ以上できない」のなら緊急事態宣言を要請するのならわかる。しかし、どこまでやったのだろうか。





実は滋賀県が参考になる。大阪府の状況を踏まえて、滋賀県は、県内の病院1カ所で重症患者を受け入れ、看護師2人を大阪府に派遣することを決めた。滋賀県民のことを第一に考えていないのではないか?といった厳しい意見もあるが、私は三日月知事の決定は凄いと思う。第一に、都道府県の違いを乗り越え、今は協力してやるべき、というその姿勢である。第二に、自分たちだけの利益を短期的に優先して協力しないとしても、大阪が感染爆発したらどのみち滋賀にも影響を及ぼすことを理解していることである。





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