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本質的な問いのない若者アンケート 東京都長期ビジョンを読み解く!その98

Japan In-depth / 2021年5月6日 14時16分

本質的な問いのない若者アンケート 東京都長期ビジョンを読み解く!その98




西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)





【まとめ】





・都のアンケートはそれなりに有意義だが、調査設計は改善すべき。





・「外出理由」の設問で「その他」が最も多く、選択肢に不備。





・「やってる感」ではない調査・分析を期待する。





 





東京都は若者向けに渋谷や新宿などでアンケートを実施した。「緊急事態宣言下においても外出が減らない要因を分析し、より効果的な外出自粛の呼びかけに繋げていく」というのが目的だ。





□調査概要□

【日時・場所】

4月30日(金曜日)12時00分から16時00分の間

渋谷駅・原宿駅・新宿駅周辺の3か所

【対象】

2人以上(グループ)で行動している30歳代までの若者をターゲット  

【手法】

タブレットによる選択方式、都職員30人(2人×15組)が、渋谷・原宿・新宿の3か所でアンケートを実施 合計480件回答を収集 

【実施】東京都

(出典:東京都HP)



その結果明らかになったことは、「外出理由では、『マスクをしているから大丈夫だと思う』『皆も外出しているようだから』が多く、『その他』では『もともと予定を入れていた』『友人等と約束をしていた』等の理由が挙げられた。」とのことだそう。





大変な中、こうした活動をするのはお疲れ様です。調査に従事した都職員30人にはGWにもかかわらず、頭が下がる。しかし、あまりに意味のわからないアンケートに戸惑ってしまった。





■目的妥当性がない





その内容を見てみよう。









▲表 【出典】東京都HP





何をしにきたか、その理由を探るもの、買い物をする、友達等と会うというのが多かったようだ。これはまだ適切な設問である。





しかし、次の設問がひどい。









▲表 【出典】東京都HP





だから何?と突っ込みたくなるほど当たり前の結果である。アンケートの目的は、緊急事態宣言下においても外出が減らない要因を分析すること。それには適合していない。設問はまだいいが、選択肢が間違っている。緊急事態宣言下にも関わらず、なぜ外出したのか、という本質的な心理や意見を探るものになっていない。マスクで安全?周りも外出している?若いから大丈夫?という設問で十分ではないことは、「その他」の選択肢が最も多いことが結果を示している。





■いったい何を分析したいのか?





宣言の重要性の認識度合、宣言よりも自分の都合が優先・周りもやっているので自分も許されると思った自己弁護などに突っ込まないアンケートなど意味があるのだろうか。不要不急であるのに外出するのかということなので、どうしても外出したい理由があるはずだ。









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