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米雇用停滞、バイデン政権に衝撃

Japan In-depth / 2021年5月10日 7時0分

 ・この状況は全米でみても年間合計3万2000ドル以下の収入の労働者にとっては雇用を得て、働くよりも、救済資金を受けていたほうが収入が多いことになる。この状態は明らかにコロナ被害救済や経済再建のためには公共支出を大幅に増やしていくという現政権の政策の失態だといえる。





民主党寄りの経済ニュースメディア「アクシオス」もこの雇用停滞について「バイデン政権の最大の政策ミスに近い」と評した。そしてバイデン政権の過剰支出は財政赤字の歴史的な増加にもつながると警告していた。





バイデン政権は登場以来、前述の1兆9000億ドルのコロナ被害救済資金に加えて、2兆2500億ドルの公共インフラ建設資金、1兆8000億ドルの教育・福祉資金と、合計6兆ドルほどの超巨額の政府支出案を議会で成立させた。





上下両院とも共和党議員は1人の例外もなく反対に回った。高所得層と企業への課税を苛酷なまでに高くする「大きな政府」策はバイデン政権下では社会主義的な富の再分配に近く、自由市場経済の効力を消してしまう、という批判に徹していた。





しかしバイデン大統領は共和党側の批判に対抗する形で5月7日に簡単な演説をして、「この雇用の統計はそれほど気にする規模ではなく、これまでの政策を変える必要もない」と強気をみせた。









▲写真 ケビン・マカーシー下院共和党院内総務 出典:Alex Wong/Getty Images





だが共和党側ではバイデン政権の政策全体に対する批判や非難が噴出した。





「今回の雇用停滞もバイデン政権が企業への法人税や経済を動かす高所得層への所得税を大幅に上げることで経済復興の活力を奪ってしまうという基本政策の失態の結果なのだ。国民に対して寛大だと称して、雇用よりも失業に対して多くの政府資金を供することは経済全体を傷つけることになる」(ベン・サシ―共和党上院議員)





「バイデン大統領の『大増税、大支出』策は経済の再建につながらないことは今回の雇用の停滞でも実証された。共和党側の意見を無視しての強引な社会主義的経済管理は一般アメリカ国民を恐怖の悪循環サイクルから脱せないままにしている」(ケビン・マカーシー下院共和党院内総務)





「この雇用停滞のニュースはまさに民主党側の『大きな政府』策がさらに強化されるという時期に起きて、バイデン政権に大きな衝撃を与える結果となった。同政権の基本的なスタンスは民間の景気や雇用に対して、とにかく巨額の政府資金を提供することだから、国民の労働意欲の増強にはつながらないのだ」 (ジョディ・アーリントン下院共和党議員)





今回の雇用統計は共和党側のこうしたバイデン政権批判をすっかり勢いづけてしまったようだ。この批判にバイデン政権や民主党の議会勢力がどんな対応策をとるのか、注視されるところである。





トップ写真:バイデン大統領 出典:Chip Somodevilla/Getty Images

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