文在寅が警戒、大統領選最右翼候補
Japan In-depth / 2021年5月19日 7時0分
さて、一筋縄ではいかないというなら、イスラエルのネタニヤフ首相も同類だ。報道によれば、先週末バイデン大統領はネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長とそれぞれ電話会談を行ったという。だが、この程度の米国からの働き掛けに素直に応じるネタニヤフ首相ではない。
▲写真 イスラエル ネタニヤフ首相(エルサレム2021年3月24日) 出典:Amir Levy/Getty Images
バイデン政権は、「イスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突が激化する中、米国が緊張緩和に向け中東諸国と協議中であることを説明し、双方に自制を促した」そうだが、ちょっと甘いなぁ。エルサレムやガザで起きている事件は、単なるイスラエル・ハマス紛争ではなく、ネタニヤフ首相生き残りのための国内政治の一環だからだ。
過去2年間でイスラエルでは4回総選挙が行われたが、ネタニヤフ政権は安定するどころか、同首相失脚の瀬戸際にある。当然、ネタニヤフ首相はいつもの切り札を切る。「対パレスチナ強硬策」により議会内「超保守派」勢力の支持を取り付ける手品、この見え透いたマジックが再び始まった。そう考える方がより現実に近いだろう。
可哀想なのは、イランに依存するハマスと、当事者能力を欠くアッバースPLOしか選択肢を持たない、パレスチナ人たち。彼らには有能で責任感ある指導者がいないのだ。他のアラブ諸国も、見て見ぬふり。過去20年間でパレスチナ問題は「アラブの大義」ではなくなりつつあるのか。1970年代のPLOを知る者にとっては隔世の感がある。
〇アジア
日米韓3カ国が6月中旬のG7サミットで首脳会談を開く方向で調整に入った、と報じられた。米国主導の動きだろうが、3カ国の首脳会談は2017年以来。「馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない」という諺があるが、今回馬になるのは韓国か、それとも日本か。いずれにせよ、デリケートな扱いが不可欠である。
〇欧州・ロシア
マイクロ波による攻撃が原因ともいわれるハバナ症候群が、キューバ・中国だけでなく、ヨーロッパ・ロシア・アジアなどの世界各地に赴任する米政府職員の間でも広がり、被害者は全体で130人以上だという。ロシア諜報機関GRUの犯行である可能性が高いとも報じられたが、本当にそうなのか。また、日本は大丈夫なのか、気になる。
〇中東
エルサレムやガザではパレスチナ人とイスラエル治安部隊の大規模な衝突が続いているが、ここで報道が「止まっている」のが「イラン核合意」に関する米イラン交渉である。この種の交渉は「騒がしいほど実態は思ったように進まず、静かであるほど実質的な議論が起きている」可能性もあるので、要注意。朗報を待ちたい。
〇南北アメリカ
「次期駐日大使に指名」と報じられたエマニュエル前シカゴ市長をめぐり、与党・民主党の急進左派勢力が「大使に不適格」と反対姿勢を強めているらしい。民主党内の急進左派の動きは前から気になっていたが、同前市長はオバマ政権の首席補佐官でもあった政治のプロ中のプロ。党内では評判が悪いのだろう。どうなることやら。
〇インド亜大陸
インドに対する米中の「ワクチン外交」が佳境に入りつつある。外交も良いが、先ずは1日30万人というインドの悲劇的な感染者数を何とかしないと・・・。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは来週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:韓国 文在寅大統領(ソウル2021年5月10日) 出典:South Korean Presidential Blue House via Getty Images
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