1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ミャンマー、スー・チー氏徹底排除へ

Japan In-depth / 2021年6月15日 19時7分

そして5月24日に軍政は公判に出廷するスー・チーさんの写真を公開した。この時はミン・ミン・ソー弁護士が約30分、スー・チーさんと直接面会することができた。スー・チーさんは弁護士を通じて国民に「民主政府は国民がいる限り存続する」とのメッセージを送った。





こうした弁護士との面会や公判写真の公開は、軍政が司法を掌握していることを内外に示し、反軍政の動きや市民のスー・チーさん支持を抑えこもうとする動きとみられている。





■狙いは総選挙からのスー・チーさん排除





こうした一連の軍政によるスー・チーさんへの動きは、ミン・アウン・フライン国軍司令官率いる軍政がクーデター後に明らかにした「2年以内に情勢が安定したら民主的選挙を実施して、選ばれた政府に政権を移譲する」とする「公約」の実現を視野に入れたものであるといえる。





つまり将来実施される軍政主導による「民主的な選挙」からスー・チーさんの政党NLDや反軍政組織「NUG」やスー・チーさんを含めたその関係者を完全に排除することで軍政関連政党などの勝利を確実に、引き続き軍の政治への強大な影響力を維持したいとの狙いがあるのは間違いない。





このため軍政はNUGを非合法組織としてメンバーである「閣僚」の摘発に全力を挙げ、組織の解体を目指している。





こうした軍政のあからさまな「民主派潰し」「スー・チーさん排除」に対して反軍政を掲げるNUGは自主的防衛組織として「国民防衛隊(PDF)」を組織して、「目には目を」「武力には武力を」の路線を打ち出し、軍政との対決姿勢をさらに強めている。









▲写真 即席の武器を持ち軍へ抗議する市民(ヤンゴン 2021年4月3日) 出典:Stringer/Getty Images





都市部の学生を中心とする若者が「カレン民族同盟(KNU)」などの少数民族武装組織と連携、ジャングルでの銃の使い方、ゲリラ戦の手法などの軍事訓練、武器提供を受けて既に都市部に戻っている、との報道もある。





少数民族武装組織も周辺部で軍の拠点などへの攻撃をエスカレートしており、軍は報復として空爆や砲撃を繰り返しているという。





主要都市ヤンゴンでは最近、商店や飲食店、市場、銀行などが次々と営業を再開して、経済活動が復活しているという。「社会的安定」「市民生活正常化」で政権掌握をアピールする軍政の指示と同時に経済的な困窮から商売を再開せざるを得ないという市民の状況も背景にはあるという。





こうした表向きの社会経済活動の「安定」の裏で、都市部では武装市民による蜂起、そして周辺部では少数民族武装組織による軍への攻撃というように、スー・チーさんが表舞台から消えたミャンマーは「内戦の危機」という最大の危機に直面している。





トップ写真:アウン・サン・スー・チー氏(シンガポール 2018年11月12日) 出典:Suhaimi Abdullah/Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください