王滬寧、習近平政権内での役割は?
Japan In-depth / 2021年6月19日 23時23分
(2)王滬寧は習主席にマルクス・レーニン主義を吹き込んだ。
「2018年4月23日、共産党政治局は『共産党宣言』をグループで勉強した。これは、中国共産党の思想的責任者である王滬寧が仕組んだことは間違いない」。
「王滬寧は習主席の頭の中にマルクス・レーニン主義という『迷信』を流し続け、主席に残っていた正常な人間の思考の一部をマルクス・レーニン主義へと追い詰めた」。
(3)王滬寧は習主席を政治局常務委員会でますます「孤立」させた。
「中国共産党の最高権威は、政治局常務委員会で、習近平、李克強、栗戦書、汪洋、王滬寧、趙楽際、韓正の7名で構成されている。江沢民・曾慶紅の取り巻きは、王滬寧、韓正、趙楽際の3人で、彼らは江・曾の率いる『上海幇』の重要なメンバーである」。
「李克強首相は、かつて習主席による汚職摘発する側の重要な味方だった。 当時、李は習主席を強く支持していた。 しかし、2017年、共産党第19回全国代表大会以降、王滬寧の支配する党内メディアは、習と李の間に溝を作り続けた。今日、習近平の友好的な同盟はもはや存在しない」。
「汪洋政治協商会議主席は、鄧小平の『改革・開放』路線を支持している。また、汪洋は『すべての硬直した、古風で閉鎖的な考えに門戸を開く』よう呼びかけている。このような考え方は、習主席とは大きく異なる。結局、王滬寧の工作により、党の最高意思決定者である7人の政治局常務委員の中で、習近平の側近は栗戦書だけになってしまった」。
(4)王滬寧は習近平を共産党の最高指導部の中で「一匹狼」にした。
(4)は(3)を追求した結果に違いない。「2021年は、中国共産党創立100周年に当たる。王滬寧が行った最も重要なことは、共産党史の書き換えを主導したことである」。
「今年2月に出版された『中国共産党略史』の特徴は、かつての党の独裁者である毛沢東と、現在の党の指導者である習近平という2人にスポットを当てている」。
「2012年11月に中国共産党の指導者に就任した習近平は、『中国共産党略史』が出版された時点で、政権に就いてからわずか8年3カ月しか経っていないにもかかわらず、146ページを費やした」。
「一方、1976年10月から2012年11月まで36年間、中国共産党の最高指導者は、華国鋒・胡耀邦・趙紫陽・江沢民・胡錦濤、それに鄧小平である。この6人の党指導者の記述は全部でたった163ページに過ぎない。つまり、王滬寧は、この中国共産党史で、習主席をその6人より高い地位につけたのである」。
以上のような手口で、王滬寧は、習主席を称賛する振りをしながら、いかに主席を蹴落とすか考えて行動していたふしがある。仮に、近い将来、党内クーデターで習主席の命脈が尽きるようならば、江沢民と曾慶紅の刺客、王滬寧による主席への罠が奏功した事になるだろう。
トップ写真:習近平主席(北京 2020年10月23日) 出典:Kevin Frayer/Getty Images
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