中国におけるコロナの現況は
Japan In-depth / 2021年6月26日 18時0分
以上のように、少なくとも5地域で半ロックダウンが行われた。しかし、この中の3地域では、いつそれが終了したか確認できていない。そのため、ひょっとして、今でも半ロックダウン状態が続いていないとも限らないだろう。
周知の如く、中国では当局が情報をコントロールしているので、住民によるSNSでの情報が制限されている。したがって、これら地域の実態を知るのは難しい。
今年に入ると、春節(旧正月)以前に、別の3地域で半ロックダウンが行われた。
(1)1月5日、河北省石家庄市で開始(終了日不明)
(2)1月11日、黒竜江省の綏化市で開始(終了日不明)
(3)1月12日、河北省邢台市と廊坊市で開始(終了日不明)
そして、最近、広東省でロックダウンが行われている。
(4) 5月29日、広州市で開始
(5) 6月19日、深圳市で開始
さて、今年初め、日本のあるメディアは、「(中国)政府はコロナを封じ込めるため、武漢で最初に実践した厳格な行動制限や隔離などの手法に自信を強めている。・・・感染が再び広がる河北省などでも『武漢モデル』を使って感染を抑え込む構えだ。欧米や日本などに比べて感染者数は桁違いに少ない(引用者)が、市民生活への影響は小さくない」(『東京新聞』「<新型コロナ>武漢封鎖1年、北京周辺に広がる感染も『武漢モデル』で制圧狙う」2021年1月24日付)と報じた。
同新聞は(中国が発表した数字を基にして)米ジョンズ・ホプキンス大学が集計した数で判断したのだろう。これでは、中国の公表した数字を鵜呑みにして、情報を垂れ流している感は否めない(ちなみに、2021年6月21日現在、中国の感染者数は9万1,604人、死亡者4,636人<『新型コロナウイルス感染 世界マップ』日本経済新聞>)。
かつて、われわれは、2020年1月末から2月初めのたった1週間で、武漢市内の葬儀場でのご遺体焼却数から、同市・同期間にコロナ死した人は約2,000人と推測した(参照:『日本戦略研究フォーラム』「1週間で約2千の遺体が焼却された武漢市」)。
▲写真 76日間にわたった長期封鎖から1年。墓を清掃する人の姿も(2021年4月3日 中国・武漢市) 出典:Getty Images
一方、『ラジオ・フリー・アジア(RFA)』は「中国湖北省の年金統計は、コロナ死に対する疑念を引き起こす」(2021年2月17日付)という記事を掲げた。
「2019年12月、『新型コロナ』のパンデミックが初めて発生した湖北省の民政部が発表したデータによれば、(コロナが武漢市とその周辺地域を襲い、)省内のロックダウンを引き起こした2020年第1四半期に、約15万人の高齢者の名前が年金支給対象者リストから『消えた』ことが明らかになった」と報じている。
高齢者なので、コロナ死以外の病死、事故死、自然死等も含まれるだろう。だが、それらを考慮しても、湖北省1省だけでこの数である。全国(31省市)でどれほどの人達がコロナで亡くなったのか、想像もできない。当然、感染者は、その何十倍もいるはずである。
トップ写真:長期封鎖一部解除後も人の流れが厳しく管理されていた武漢市の住宅街(2020年4月8日 中国・武漢) 出典:Getty Images
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